テーマのこの言葉が好きです。もう、人間80年やってますと、世の中の、あらゆる事に出会ってます。昭和20年8月の終戦時には4才でした。物の無い、不足という時代に亡き母が、よく私と弟を育てながら、何事もやってみれば、けっこう楽しいもんだねえなど言いつつ、まったく経験の無い、土を耕して、野菜、芋を作った。今の時代の、ブランド物ではない。どこか、水っぽい感じのする芋だったりしたが、収穫の時には、ぞろぞろ連なって出てくるさつまいもに、歓声を上げた。
母は、声を上げながら、芋の蔓を引っぱる私に、「ほうら、やってみれば、できるもんだねえ、よかったねえ」と笑った。この収穫までに、30才になったばかりの母が、どれ程の苦慮と貧しい生活を、二人の子供、体の不自由な姑を抱え、来る日も来る日も、食糧の調達ばかり考えた毎日だったと、その後、父が復員し、どうにか世の中も安定し、私達も大人になった頃、母がよくこう話してくれた。「人間、万事塞翁が馬だよ。予測しがたいこと、いっぱいあるよ。幸も不幸も予測できないし、やってみないと、結果は出ないしね、なせば成るって本当だねえ。」と言うのである。この母に、私はずい分助けられた。子供だから当然なのだろうが、小さな頃から、私はよく母に質問したそうだ。学校の勉強の事、大好きな歌のこと、母が活ける、草月流のこと、大人になるという事、難しい言葉の意味、漢字の書き方等、そのどれにも、母はきちんと答え、教えた。その中に、なせば成るの言葉があった。何事もやってみなけりゃわからないが口癖だった。本当にその通りだと思った。母は87才で亡くなった。

 時が過ぎ、65才で母を送った後、健康の為にとカーブスへ入会した。この町に、カーブスが開かれて、約10ヵ月後に入会した。
まだまだ、現在程、筋トレ筋トレと、誰もが口に出すこともなく、その3年後に、あの忌わしい東日本大震災が起きた。被災地の嘆かわしい状況が、毎日のように伝えられた。
その現場にも、カーブスの教室があったであろうに、その当時は、無事であることを祈るのみであった。10年過ぎ、カーブスでの結果報告、よくなった事、体の変化とか、筋肉のこととか、どれもが自身だけの報告である。他人事ではない。自身だけのことで、被災地の事は、ニュースで知る限り、話題に出れば話すという程度、自分のみの体の一善一憂に甘んじていいのかとも思った。そんな中いつも思うことだが、なせば成るという言葉、これと似て努力という言葉があるけれど、私は、この努力の言葉は好きでない。両方共、尽くしてうちこむことは同じであろうけど、何故か努力の方は、悲壮な決意を感じ、良い結果ばかりを願っている感じがする。なせば成るというと、とにかくやってごらんよ、きっとできるようになるよとやさしい。それでいて、私のことですが、これでもかこれでもかと、カーブスのマシンへの挑戦を続けた。時間の許す限り通った。徐々に結果は出た。
 動くことは好きだった。学生時代よく走った。よく跳んだ。だから、カーブスのマシンとボードでの30分のトレーニングでは、物足りなさを感じた。ストレッチも簡単だなあと思った。なんだかマンネリズムだなあと思ったりしだした。しかし、2年が3年、いや早い人ならすぐに、体が変化してきた。小さな小さな変化であった。丈夫なのが取柄の私だけに、体のどこもが固い。筋肉があっていいねえなどと言われるのは大嫌いである。どこか男っぽく、私はやさしくポッチャリとした体を好きだった。だが違っていた、いかに筋肉が大切か、筋肉を増やすことが、これからの生活で一番必要なことを知った。改めて、真面目にマシンに向かった。先ず、お腹まわり。オブリーク、ラテラル・リフトのマシンが大好きになる。背すじをのばし、コーチの指導よろしく、腹斜筋を鍛えた。時に、コーチが横腹にさわる時など、私の肉にさわったなあ~などと言うと、さわっていません!と返ってくる。周りの仲間がドッと笑う。そんなことが続いて、ある席で私の立ち姿を見ていた方から、背スジがスッとしていてきれいですね、座っている姿もきれいでした。と言って下さった。ヨガを教えていらっしゃるとかで、若くきれいな方からです。立ち姿も、座り姿も、まったく意識していなかったが、他の人から、はじめて、見られているという感を持ちました。そして、カーブスでの、腹斜筋を鍛えたことに、少しではあるけれど、結果が出たのです。今迄は座っていると、背中が丸くなってるよ、などと注意されたことがありました。それから足も筋肉はついているもののみっともない!もっと、しっかりと、しまった足にと。レッグ・エクステンションを丁寧に指導していただいた。大腿四頭筋も、ハムストリングスも痛くありません。足腰の衰えも感じません。足の筋肉の側面に、スジができるほど、きれいに筋肉がついたねえとほめられて少しラッキーです。ショルダープレスも、きちんと使うと、肩こりしません。広背筋が鍛えられて、これも姿勢が良くなります。ペック・デックも同じような効果が出て、私は12台あるマシンの中で一番好きです。難しいのが、アブ・バックです。お腹まわりとか、体幹を鍛えるマシンなのに、一番、熱を入れてやろうとしているのに、みぞおちから曲げるよう教えていただいているのに、腹直筋を鍛えられないのです。目線は常に前を向くようにいわれているのに......駄目ですね。コーチが「孝子さん、焦らないで、できていますよ」などとやさしい。こんな積み重ねが、知らずに姿勢のいい私になった。
マシンの後にする、ストレッチも、筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広めます。筋トレのあとで行うストレッチ体操で、筋トレの効果が上がるそうです。私は、少し仕事を持っていますので、一日置きのトレーニングがいいと指導がありますが、一日の体の総仕上げ、体と心の癒しに、せっせと、時間の許す限りは通ってます。コーチの皆さんの笑顔と明るい指導、どんな質問にも答えて下さる、娘のような、孫のような気持で通えることを大切にしたいと思います。
この、エッセーのテーマは、いつかはきっと、なせば成る、きっと成ると決めていました。若い人でも、年を重ねた人でも、思いついたらやる!私には無理、もうそんなことやらなくても、年だからとか、今更、人様の中へ......なんて思っちゃ駄目。チャレンジするって素晴らしいです。カーブスを通して、いろいろと変わり、続けられたこと、喜びのある事が多くなり、とにかく、素敵な友人が、またその友人からの勧めで、新しいサークルに入り、新しい世界を知ったこと。沈みがちな人に声をかけてあげられること。そんな中でも、どうしても心を開いてくれない人に、そっとコーチから名前を教えてもらい、「○○さん!」と呼びかけると、きまって、びっくりした目を向ける。「今日の、あなたのTシャツ、いい色ね」というと、「本当?私も青系好きで......」と友達になる。名前を覚えるのが、一番の友人になる方法です。これも、なせば成る、カーブスって、楽しいこと、沢山沢山あるんですね。