まさか、こんな世の中になるなんて思わなかった。
まさか、自分の体がこんなになるなんて思ってもみなかった。
 この1年を振り返ると、そう思ってしまう。昨年の1、2月頃から新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延し、死亡される方も増加した。テレビのスイッチをつけると、どのチャンネルも新型コロナウイルスの話題ばかり。得体の知れない「コロナウイルス」に怯える日々が続いた。5月には、全国に「緊急事態宣言」が発令。幼い子供からお年寄りまで右を見ても左を見てもマスク姿の人々。ちょっと咳をしただけで変な目で見られる世の中。様々な施設のあちこちにアルコール消毒が設置され、手指のアルコール消毒が常となった。飲食業の時短営業。多くの人々は外食を控え、旅行も我慢し、家族以外とはなるべく会わない、病院の面会にも制限がかかる...。もう、数えきれない程の我慢を強いられる日常になった。
 そして、カーブスも休業となった。他県のスポーツジムでコロナウイルス感染症のクラスターが発生という報道がされると、カーブスの入口を入る私には冷ややかな視線を感じることさえあった。なので、カーブスが休業になった時、少し気持ちが楽になったのが本心だ。
 「体を動かしに週4回はカーブスへ行こう」と自分の中で決めて通い続けて丸10年。10年の間、どんなに忙しくても、子育てしながら、家事をしながら、仕事をしながらカーブスへ行く時間を何とか作って、体と心を鍛えるために通い続けてきた。何度か辞めようと思ったこともあったけど、自分のため、家族のためにと思い通い続けた。コーチやメンバーさんや家族に助けられ、励まされ通い続けてきた。私の友人に、「コロナ禍なのに、お母さんカーブスへ行っているの?」と息子が聞かれたこともあった。それを聞かされた時、涙が出た。「新型コロナウイルス感染症」で、健康のための"カーブス"という場所が、汚い物を見る目で見られ、切ない気持ちでいっぱいになった。だから、カーブスの休業で少し気持ちが楽になってしまったのだ。そんな自分が嫌でたまらなかった。
 休業中は動画を見ながら筋トレやストレッチをしたり、バランスボールに乗ったり、腹筋したり、自分でルールを決めて体を動かしていた。カーブスでマシンを使って体を動かすのとは違い、物足りなさを感じたが、「今まで長年鍛えてきた体、そんなに体力は落ちないだろう。」「私の体年齢は30代前半、こんなことには負けないわ。」そう思っていて、おろそかになっていたのかもしれない。
 長い休業が終わって、カーブス再開して間もない6月の頃。急に左足をつくと激痛が走るようになった。また、腰も痛みを感じた。今まで腰痛なんて感じたことは一度もなかった私。数日経っても痛みが取れないので、整形外科を受診し、レントゲンを撮った。自分の腰のレントゲン写真を見た私は落胆した。「腰椎すべり症」と診断された。いまいま、この病気にかかったのではなく、長年の仕事の無理が原因の一つでもあるらしい。考えてみれば、シングルマザーの私は、一人で二人の息子を育てあげるため朝から晩まで働いてきた。カーブスで筋トレしていたが、忙しさにかまけて、規則正しい生活を送ってこなかったのは間違いではない。
 その後、カーブスでは今までのように思いっきりマシンを動かせず、もどかしさを感じた。痛みのある時は動かさないと良いというけど果たしてそれで良いのか...私の体は元に戻るのか...不安でたまらなかった。知らず知らずのうちに、コロナ禍でこの痛みが目を覚ましたのだろう。正しく「健康二次被害」なのだろう。
 台所に立って包丁を持って長く立っていることもできず、椅子に座りながら料理をしなければならない。重い物を持てない。車の乗り降りも苦痛。車の振動でも腰が痛い。病院の診察待ちの時間が長くなると、腰の痛みも増す...など、生活に支障をきたした。そんな私を家族はフォローし、ものすごく心配してくれた。
 そんな中、昨年7月に長男に二人目の女の子が誕生した。ある日、その子の子守を頼まれたことがあった。ミルクを飲んでもオムツを替えても泣き止まない孫。腰が痛い私は、やっとの思いで抱っこしたりおんぶしたりしていた。腰が痛くなかったら、おんぶして散歩に行ってあげられたのに...かわいそうなことをしたな、と思った。
 また、私には3才の孫もいる。そして、今年の7月には、次男のところにも子供が誕生する。3人の"ばあば"になる。私はこれから孫達と公園へ行ってブランコに乗ったり、滑り台をしたり、ボールを蹴って遊びたい。また、息子達が「家族旅行へ行こう。」と言ってくれている。可愛い孫達や息子達夫婦とやりたい夢がたくさんある。まだまだ健康で元気でいなくてはならないのだ。そう思えた私は、カーブスへ自然と足が向いていた。
 マシンを動かすのに不安を感じたが、そんな私に、コーチはマシン操作のフォローの他、私の不安を聞いてくれた。この10年間、様々な場面において、コーチは親身になってくれた。今回もコーチは筋トレ(体)のサポート以外、心のサポートもしてくれた。
 そうして私は、ようやく自分の病気を受け入れ、「腰椎すべり症」と上手につき合っていくことにした。最初は、ダイエットのために始めたカーブスだった。体が引き締まり筋肉がついて、体型維持に励んだ。そして、今カーブスは「健康維持のための場」と、考え方を変えてみようと思っている。
・痛いときは無理をしない
・マシンは動かせるところまで動かす
 久しぶりの計測の日がきた。ウエスト・お腹周り・ヒップ・もも周り・体重・体脂肪率・骨格筋率・体年齢と維持され変わりなかった。私は驚きと嬉しさでいっぱいだった。今までのように、筋トレやストレッチができないのに、ゆっくり動かすだけでも筋トレを続けていれば大丈夫なのだ、と実感した。左足をつくと激痛が走ったが緩和された。腰の痛みがなくなることはないが、悪化することがないのが現状だ。
 腰の痛さを知って、初めて知った事や改めて知った事があった。
 普通に歩ける事、普通に体を動かせる事、日常生活ができる事は、こんなにも素晴らしい事なんだ!
 "頑張らないことを頑張る""無理しないで筋トレをする"
 これを目標にして、これからもカーブスに通い続けようと思う。