私がカーブスに入会したのは、8年前友人が誘ってくれたから。筋トレとたんぱく質の大切さを教えてくれたから。ちょうど私の街にカーブスがオープンした。嬉しくてさっそく入会した。わずか30分の筋トレが魅力だった。
 
 それから、間もなく体に赤い大きな蕁麻疹ができはじめた。それが全身に広がり、痒みとの闘いが始まった。皮膚科という皮膚科を祈るような思いで、受診したがどんな検査にもひっかからなかった。

 洗剤やシャンプーを自然由来のものに変えたり、衣類もオーガニックコットンに変えた。それらも功を奏せず痒みはひどくなるばかりだった。特に夜中は2時間ごとに痒みで眼が覚めひっかき傷で下着は血がにじんでいた。ノートに毎食の食べたもの、発疹の状態、部位など記録した。そんな努力をあざ笑うように昼夜なく発疹と痒みは、容赦なく襲ってきた。

 もうこれで最後にしようと辿りついた皮膚科のN先生。黙って私の長い話を聴いてくれた。私の生活様式、趣味、仕事など私のカルテの記事は膨大になっていった。先生も頭を抱えておられたが突然「口を開けてみて」と言われ「これかも知れない!」と。20歳の頃、虫歯治療に、その頃主流であったアマルガム充填が上下8本も施されていた。最近そのアマルガムが溶け出しているかもしれないとの事だった。

 金属パッチテストが2日間かけて行われ先生は、休日を返上して判定してくださった。蕁麻疹の正体がわかり、口腔外科でそれを除去した。やがて蕁麻疹は消えていった。あの時N先生に出会わなければ今の私はなかった。

 カーブスはそれでも休まなかった。その30分だけは蕁麻疹の事を忘れられたから。暗い気持ちになりがちな私を明るくて、元気な大きな声で迎えてくれたコーチの人たちには感謝しかない。
 
 そんな時、夫がステージ4の肺癌と宣告された。抗癌剤治療でつらいと思うのに「俺の事は気にしないで、カーブス行ってきな。カーブス行った日は表情が明るいから」と送り出してくれた。

 副作用でだんだん瘦せていく彼に、カーブスのプロテイン飲ませることを店長に相談した。彼女も賛成してくれ開始した。少し頬がふっくらしてきた。でもそのプロテインさえ飲めなくなった。その時思った。こんなになる前に『男性のカーブスがあったら』と。筋肉が落ちて、歩けなくなって、食べられなくなって。こんな小さな思いがだんだん大きくなった。女性たちはカーブスのおかげで、こんなに元気で筋肉の大切さやたんぱく質の必要性もわかっているのに。
 
 夢のような話だけれど、男性のカーブスがあって夫が通い元気になっていっていたら、今頃この美しいしだれ桜の下で「一杯いかが?」って言っていたかもしれない。この季節を乗り越えたと思っているのに、時々声をあげて泣きたい日もある。夫の名を呼びたくなる。
 
 今日も写真の夫に「カーブス行ってきます」とそっと言って家を出る。カーブスに行けば「京子さんこんにちは!」と笑顔満開のコーチたちが迎えて下さる。いつもの顔なじみの元気いっぱいでやさしい仲間たちがいる。みんなに救われる。みんなありがとう。