私がカーブスに出逢ってから今日で2785日が経った。入会の動機は会社の宴会でリンダの"狙い撃ち"をかっこ良く歌って踊る為にダブついた脇の贅肉を絞りたいというさもしい理由であった。

 一年がかりでその目標に到達した暁には退会するつもりであったのだがコーチからの熱心なコーチングのお陰で筋肉の大切さに目覚め、筋トレを継続することで、その効果を実感し現在に至っている。

 2年前に定年退職をした私は、充実した余生を送る為に、身近な目標を掲げ、それを達成させる喜びを求めて日々を過ごしている。

 その目標とは例えば"毎週3冊以上の本を図書館から借りる(最近は専らミステリー小説ばかりである。)"とか、"週1のペースで新メニューの料理を夕食に配膳する"とか、"バイト先で作っているサンドウィッチを1個3分以内で完成させる"等の至極些細なことである。

 伴せてカーブスに関する目標も現在2項目掲げている。

 ひとつは"週5日通う"こと。
 これについては、昨年奄美大島への旅行の為、週1日しか通えなかった期間を除けば容易にクリア出来ている。

 一方、もうひとつの目標は、"カーブスエッセイコンクールに毎年応募する"ことである。

 実は私は、入会翌年から毎年投稿を続けている"カーブスエッセイおたく"なのである。そして有難いことに毎年、佳作か入選の賞を頂いており、いつかは、グランプリや準グランプリに辿り着きたいという大きな夢を抱いている。

 いや"夢"ではなく"野望"を抱いている。("野望"とは分不相応の夢のことだと辞書に載っていた。)

 その野望の目的は、決して、3万円相当のカーブスグッズを入手したいことではない。カーブスマガジンの数ページに渡る見開きカラーページにコーチ達に囲まれてVサインをかざす写真が掲載されることである。自分は後姿の写真でいい。何てったって秋田美人揃いのステキなコーチ達を全国のカーブスメンバーの皆さんに紹介したいのだ。娘を自慢したい母親の気持ちかな?(私には息子しかいないが)

 これが私の野望であるが、グランプリは"分不相応の夢"と諦めて先ずは、毎年応募することが目標のひとつなのである。

 しかし、この度、この目標に向い合った時、私は、これまでになく悩んだのだ。何しろ今年はネタが無いのだ。5年間応募し続けた果についにネタ切れとなったのだ。エッセイのテーマである"カーブスに通い続ける理由"も、"通って良かったこと"も5年間で書き尽くしてしまったのだ。

 体重や体脂肪率等の数値の推移も最高に改善した年から現在まで維持しているし、環境面に於ても私自身にも家族にもドラマチックなエピソード皆無の平凡な日々であったし。

 これは困った。グランプリどころか、エッセイそのものを構成する喜怒哀楽のネタが何も無い...。

 そこでハタ!と閃いた。そうだ!自分にネタが無いのなら仲間から頂けばいいのではないかと。

 コーチにそんな話をしたら半分笑って共感してくれた。

 そこで取材対象(犠牲者)としてお願いしたのは、入会6年目にして親友と呼べる程に(一方的にだけど)親しくなったFさんとHさん。

 お二人は私より4才、8才年上のヤンババ。長女の私に突然2人もの姉が出来て少しくすぐったい感じがしている。私達3人は"楽しいことをしよう"をコンセプトに、毎月、ランチや温泉旅行等を企画し実行している。

 お二人には2年前に夫と始めた99姓(百姓には今ひとつ足りず)に依り収穫した野菜をワイロに協力して頂いた。

 ひとり目のFさんは75才魚座。
 
 Fさんは農作業中の事故で施設に入居している御主人を気遣いながら草刈や除雪作業にいそしむパワー溢れる小柄な女性である。農業用の重い機器の操作を余儀なくされている彼女は、今以上に筋力を付けたいという願いでカーブスに通い始めた。そして現在、筋力アップ実現の他にたくさんの友達が出来たことが大きな収穫だと楽しそうに話してくれた。

 ふたり目のHさんは71才お牛座。

 Hさんは、カーブスに通う前は、ヒザ、腰痛による歩行困難の為杖をついていたそうだ。筋力アップの為に通い始めたのだが、同時にコーチからの栄養に関するコーチングにより、1年間で10Kgの体重ダウンを実現した努力の人。
 
 1年程前に背中の圧迫骨折を患い、1ヶ月間のカーブスを休んだところ骨格筋が激減し、その際にカーブスでのワークの効果を確信したのだと語ってくれた。

 Fさんは、独り暮しだが、横手の厳冬を今年も自力で乗り越えた超がんばり屋さん。

 Hさんは過去に負った心の傷により今も円形脱毛に悩んでいるがいつも控え目で優しい女性。

 今日もカーブスでマシンに乗りながら他のメンバーさん達と笑顔の交換をする。

 2人の親友の人生を想いながら他のメンバーさん達に心を向けると、誰もが皆、大小様々な荷物を背負っているんだなと思う。

 そして、この30分間という至福の時間に、その荷物を背から降ろし、その重さから解放され、身も心も救われていくのだと思う。それ故に本来のステキな笑顔を投げかけてくれる仲間達なのだなと。

 今日も12台のマシンが迎えてくれる。

 そして私達にエールを送ってくれる。

 "負けるな!一度しかない人生を最後のその日まで貴方らしく輝いてほしい!その為に俺達12台のマシンを駆使して、もっともっといい女を目指してくれ!"なんてね。何故かマシンは男性でしかもイケメンの設定。只の妄想と思うことなかれ。

 カーブスの存在は、実はSDGsにも関係している。SDGsは世界の全ての人々の幸せの為に掲げられた、2030年達成に向けた世界目標であるが、全部で17項目ある目標の3番目に「全ての人に健康と福祉を」と設定されている。カーブスは、まさに、この世界目標を達成させる手段となり得る存在であると思う。なので、未だカーブスに出逢っていない女性たちにカーブスの存在を伝えたくてたまらないのである。

 こうしてエッセイを書いていると行く着く想いがある。それはカーブスに出逢えたことへの喜びと感謝の気持ち。

 入会以来、健康に自信の持てなかった私が、一度も風邪を引いていないという奇跡が続いている。

 45年間勤務した会社を無事に定年退職出来たことは、大きな喜びだった。大切な人の死に遭遇した時もカーブスに通うだけで悲しみが癒された。コロナ禍に依る閉塞感を解消させてくれる空間を提供して頂いた。そして何よりも親友が出来た。どれもこれもカーブスの存在のお陰である。

 私は、きっとこの感謝の気持ちを伝えたくて、そしてこの気持ちを仲間達と共有したくてエッセイを書くのだと思う。

 元々目新しいネタなんて必要なかったのだと気付いた。(完)