「えっ、噓でしょう。信じられない!」
 「いつも元気で張り切っていて。その年齢には見えないわ...。」
 
 お世辞だと思っても嬉しくなる私。作家宇野千代さんがインタビューされた時「この年になっても死ぬ気がしないわ」と作家活動を続けられていたのを思い出す。今年傘寿になろうとする私もそんな気持ちだ。
 
 「人生百歳時代」が叫ばれている。本当にそういう時代が来ているのかもしれない。
 
 「カーブス」に通っているメンバーも皆元気だ。三〇分間に筋トレと有酸素運動とストレッチを次々にこなし帰っていく。
 
 十年以上前の私は、急性変形膝関節症で自宅に籠もり、杖や手摺り使用の日々を二ヶ月以上過ごした。ようやくゆっくりゆっくり歩けるようになったが、脚力の衰えをまざまざと感じ、階段の上り下りは極力避けエレベータ使用が増えた。家は平屋にし、バリアフリー、手摺りなど老いに備えたりした。

 更に十年後「肺癌」の診断をくだされた。甲状腺の疾患もあり悩んだ末肺癌の手術を優先した。幸い早期発見だったので、抗癌剤の投与はなく静養期間も短かった。だがコロナ感染症のパンデミックになり「不要不急の外出自粛」に加え様々な機関の営業が休業状態になり、気晴らしが出来ず鬱々した日々が続いた。
 
 朝のテレビ体操をすることぐらいで散歩に出かける気力が湧かなかった。気分のいい時歩きだしても二十分歩くのがやっとだった。
 
 そんな中、友に誘われてカーブスに入会した。説明を受けて気晴らしになるのではないかという安易な考えだった。たったの三十分だけの「筋トレ」と「ウオーキング」の組み合わせだったからだ。以前スポーツジムに通っていた頃はウオーキングマシーンを始め色々な器具を使用し、体力向上を目指し頑張っていた。だが、年々下降していく体力に気付くようになった。年には勝てないもどかしさがあった。そこに肺癌を宣告され手術も控えていたので退会した。そして静養生活。さらに外出自粛を強いられ鬱々と過ごした日々。
 
 そんな中カーブスでの短時間の「筋トレ」「有酸素運動」は一種の清涼剤になった。出かけるまでは億劫で仕方なかった。でも運動を終え帰る時体は温かく「来てよかった」という快感に満たされ、入会してよかったと思える私になっていた。
 
 でも初めの頃は見知らぬ人ばかり。お喋りもできずつまらなかった。そんな中、コーチの元気な声かけ、励ましに支えられた。
 
 また月一回の計測や食生活のチェックなどを受け食生活の見直しもするようになった。更にコーチ作成の数々の掲示物に刺激を受けることが何度もあった。特に格言「明日の私はもっと輝く」や「目標」回数の記入・「なりたい自分」をイメージすることなどである。
 
 そして一年余りが過ぎて行った。
 顔見知りも増え、黙礼程度だったメンバーのちょっとした声かけから親しみを覚え、その人の人生を垣間見た気もし楽しくなってきた。
 
 そうすると世代の違う人達との出会いにも魅力を感じてきた。何しろここ二十年近く若い人たちと出会っていなかったなと気付く。

 その他同じ時間帯に過ごす仲間の仕草や表情も面白い。足の上げ下げも違う。高く上げる人、忙しく上下させる人様々。腕の動かし方も様々。その姿に刺激され私は彼女たちの仕草を真似したりする。『大きく・速く』。
 
 更に面白く感じるのはマスクを外すと予想外の顔が見られることだ。マスク着用の顔とのギャップに驚いたりする。とにかくいつも何かの発見がある。いつの間にかカーブスに通うのも習慣化し「行かなくちゃ」という気持ちになってきているのだった。
 
 しかし、月一回の計測日が苦手だった。一ヶ月の成果が問われる日だからだ。殆ど先月と同じ数字が並ぶ。ともすると太り過ぎの月もあったりする。そんな時「もし、通わなかったらもっと悪い結果が出ていたかも知れない。ともかく健康維持出来ているだけでも『良し』としよう」と視点の転換も出来るようになっていた。
 
 そんなある日、市役所に行った時今まではスロープの歩道を歩いていたのだが、階段を使ってみる気になった。すると上り下りの足取りの軽さを感じて驚いた。嬉しかった。知らず知らず筋力が付き始めていたのだ。手摺りも使わずに上れるかなんて思ったりもした。

 今年になって、大宮の氷川神社の参道を歩き通せたし駅までの往復が出来たのである。電車に乗ることすら億劫だった私が知らず知らず脚力がついてきていたのだ。
 
 最近では体重も減少し成果が数字に出て更に嬉しさ倍増。そんな時今まで話したこともなかったメンバーから冒頭の言葉をかけられたのだ。その嬉しさがこのエッセイの応募に繋がった。

 遅々とした歩みの二年余りだったが「継続は力なり」を実感する。
 
 現在五百回記念のTシャツを着用することが多い。初めの頃頂いたTシャツもあるが今までは余り着たいと思わなかった。だがもしかしたらこれは『継続は力なり』を意味しているものなのかも知れない。何しろメンバーの中には千回の人、千何百回の人、二千回以上の人もいる。彼女たちのスリムでその動きのなんと軽やかなことか。生活も充実しているんだろうなあ。何という「継続力」「持続力」の持ち主であることか。驚きである。
 
 私も彼女たちを目標にカーブスに通い続け、なすべきことをなし、ボランティア活動を充実させたい。そして人生百年時代に感謝しつつまだまだある可能性を発見し元気に八十代を生きていきたいと思う。