会社を辞めた日、私は少しだけ自由になりました。
そして同時に、どこにもいない自分になりました。
それまでの私は、仕事が忙しくて朝と昼はほとんど食べず、夜にまとめて食べる生活をしていました。眠るのは、だいたい4時間ほど。
「まだいける」
そう言い聞かせながら、自分の限界を、少しずつ見えなくしていました。
鏡に映る自分は、どこか元気がなく、疲れているはずなのに、それを認める余裕すらありませんでした。
「健康な精神は健康な身体に宿る」
亡き祖母が、小学生の私に贈ってくれた言葉です。
ずっと覚えていたはずなのに、その意味に触れることなく、ここまで来てしまいました。
あの頃の私は、"宿る"というより、ただ無理やり自分を動かしていただけだったのかもしれません。
そんな時、久しぶりに再会した小学校以来の友達が、カーブスを勧めてくれました。
昔と変わらず、はじけるような笑顔の彼女。
カーブスに通っている話を聞いて、少しだけうらやましく思えました。
私は自分の身体を後回しにして生きてきました。
身体をだますように生きてきた私と、
身体を大切にして、いきいきと楽しんでいる友達。
私は、自分の身体に、なぜ目を向けてこなかったのだろうと、初めて思いました。
正直に言えば、さほど期待はしていませんでした。
変わるとしても、ほんの少しだろうと。
その思いが、いつもなら選ばない一歩を、私に踏み出させました。
通い続けるうちに、体は静かに変わっていきました。
2か月で体重は2キロ減り、ウエストは3センチ細くなりました。身体も軽くなり、洋服選びも楽しくなりました。
けれど、それ以上に変わっていたのは、目に見えない部分でした。
朝、少しだけ体が軽いと感じること。
きちんと食べようと思えること。
夜、眠ろうと思えること。
当たり前だったはずの感覚が、少しずつ、自分の中に戻ってきました。
無理に頑張らなくても、自然と整っていく感覚がありました。
「ゆかこさん、こんにちはー!」
コーチの明るい声が響きます。
あとから気づきました。
それは、思い出すのに少し時間がかかるくらい、久しぶりのことでした。
誰かに名前を呼ばれて、それに応える。
ただそれだけのことが、こんなにも心をあたたかくするのだと知りました。
祖母の言葉は、新しく何かを教えてくれたのではなく、
もともと自分の中にあったものに、気づかせてくれたのだと思います。
そのきっかけをくれた友人と、カーブスに、心から感謝しています。
そして私は、もう一度、自分の身体と向き合って生きていこうと思います。