「もう床の生活は無理なのかなぁ」

 去年の1月、夫が亡くなり、休職して家にこもる生活をしていた頃、私はひざの痛みで正座ができなくなっていました。

 正座どころか床から立ち上がることさえ怖くなっていました。お座敷での会食や、床生活の友人の家に行くときには、折り畳み椅子を持参するほどでした。
家でも正座ができる椅子を買って使っていました。
年齢もいわゆるアラカン。体はもう若い頃のようには戻らない。「こたつ大好きな私なのに、生活スタイルを変えていかなくてはいけないなぁ」とまで思っていました。

 私が最初にカーブスに入会したのは9年ほど前だったと思います。介護の仕事をしている私は、転職に伴い環境が変わり、活動量が減り、いつのまにか体重が6キロも増えてしまったことがきっかけとなりました。しかし当時は夜勤もあり、カーブスに行ける時間が合わなかったり、やっと行けそうな日は定休日だったりと思うように通えず、やがてコロナ禍となり、そのまま辞めてしまいました。

 今思えば、あれは一度目の『GAME OVER』だったのかもしれません。

 もともと私は子どもの頃から運動が大の苦手で、運動会は地獄、いわゆる『腹筋』なんて1回もできないほどの運動音痴でした。それでも、カーブスで運動していたときの気持ち良さ、そしてそれまでどうしてもできなかった腹筋が、カーブスで体の使い方を覚えてできるようになった感動を、私は忘れませんでした。

 その後、私は介護職から職種を変え、ケアマネージャーとして都内へ転職しました。その時の職場の最寄り駅の近くにもカーブスがあったので、コロナが少し落ち着いた頃に「もう一度やってみよう」と再挑戦しました。割と順調に通えました。

 ところが今度は夫が体調を崩し、介護が必要になってしまいました。夫の介護と片道一時間の通勤の中では、カーブスに寄る余裕がなくなった上、間もなくその職場にも通えなくなってしまいました。

 こうして二度目の予期せぬ『GAME OVER』となりました。

 私は介護職・ケアマネージャーとして、日々利用者さんと接する中で、元気に体を動かせることがどれほど大切かを実感する場面をたくさん見てきました。歩けなくなること。立ち上がるのが難しくなること。さまざまな病気になってしまい、できないことが増えてしまうこと。それらは生活の質が落ち、認知機能の低下にもつながることがあります。だからこそ大切なのは「こうありたい」「あきらめたくない」「頑張りたい」という本人の意思や意欲だということも、利用者さんから教わりました。

 私も、まだあきらめたくはありません。
できる限り長く、好きなことをして楽しみを持ち、笑って暮らしていきたい。そのためには食生活などの生活習慣も含めて、自分の体をきちんとマネジメントしていくことがとても大切だということを、仕事を通じて身に染みています。

 夫を亡くし、しばらくして落ち着いたあとは気持ちを前向きに、心機一転、新しい職場に就職しました。床生活をあきらめかけていた自分と向き合い、このままではいけないと、夫の部屋を宅トレ部屋にしてスマホを見ながら運動しようとしたこともあります。けれど、一人ではなかなか続きませんでした。

 そんな時、新しい職場の近くに、少し遠回りだけれども無理なく通えるところにカーブスがあるのを見つけました。
「やっぱりカーブスかなぁ」そう思った私。
正直に言えば少し迷いました。二回も続かなかったのに、また入会するのか。
けれどもひざの痛みで床から立ち上がれない自分を思うと、このままあきらめてしまうのは私らしくない、という思いがあふれてきました。

 去年の9月、三度目となるカーブスの門を叩きました。
久しぶりにあの空間に入ったとき、どこかほっとする気持ちになりました。
そして簡易的な運動チェック。わかってはいましたが、かなり体が衰えていたことを目の当たりにさせられて、正直悔しい気持ちにもなりました。

 現在、カーブスには仕事が終わってから、または休日に、週に2〜4回ほど通っています。夜勤は無いものの残業で行けない日もありますが、それでも行ける日は必ず行こう、と決めて私なりに頑張っています。行けなかった日は、せっかく作った宅トレ部屋を少しでも活用することにしています。

 カーブスでの30分間は、私には決して楽な時間ではありません。常に体と相談しながら、できる限り全力投球で、と、脈拍は常に緑か青。終わる頃には「やっと終わった!暑い!疲れた!」と思うこともしばしばです。それでも、その積み重ねが少しずつ体を変えてくれているのだと感じています。

 そんな私に、嬉しい変化がありました。三度目のカーブスを始めてほんの2、3ヶ月で、気が付いたらひざの痛みであきらめていた床の生活に、戻ることができていたのです。床に座り、そこから立ち上がる。かつて当たり前だった動作が、また自然にできるようになりました。そのとき思わず心の中でこう叫びました。
「やった!まだまだこたつが使える!」

 さらに、以前はひざの痛みに加えてすぐに息切れしてしまい、つらくなってきていた階段の上りが驚くほど楽になっていることにも気付き、前から行きたいと思っていた高尾山にも登ることができました。

 骨密度の測定でも思いがけない変化がありました。2年前にはYAM77%、同年代比92.2%だった骨密度が、先日の測定では、YAM89%、同年代比108.4%という結果になっていました。2年前、骨密度に根拠のない自信があった私は、その数字を見てかなりショックを受けました。骨密度は年齢とともに減少していくものだと思っていましたが、今回の結果を見て自分の体がまだ応えてくれることに驚き、とても嬉しく思いました。

 若い頃のように無理はできません。でも、アラカンになった今だからこそ思います。体は、あきらめなければ少しずつ応えてくれる。

 私が夫の介護中に元気付けられたスーパーマリオブラザーズの映画で、ピーチ姫が嬉しそうにマリオに言う言葉があります。
「ホントにあきらめが悪いのね!」
これ、実はゲーム好きには共感できる誉め言葉なのです。

 運動は苦手だったけれど、若い頃からゲームが大好きな私の中で、自分のあきらめの悪さと、達成した時の感動が、無意識に動いていた気がします。
そして何より、二度GAME OVERしたカーブスの、私なりの攻略法も少しずつ分かっていたのだと思います。だからこそ、今度こそ続けられる。

 まだまだあきらめたくない。あきらめが悪い私です。
これからもカーブスで体を動かしながら、自分の体をしっかりマネジメントしていきたい。立ち上がり、元気に歩き、社会参加を続け、日常を、特別な時間を、目一杯楽しめる自分でいられるように。
そしてその大切さを、たくさんの人に伝えていきたい。

「もう床の生活は無理なのかなぁ」
そう思っていた一年前の私に、今ならこう言える気がします。
「まだまだ大丈夫!」

 三度目のカーブス。
ゴールの見えない私の人生はまだ『CONTINUE』です。