「久しぶりだね、元気だった?」嬉しいことにあちらこちらから、懐かしいお顔の方たちに声をかけていただいた。最初に入会したカーブスに戻った日の事だ。緊張の一瞬!と言いたいが、何の特別なことでもなく、以前と変わらず普通に受け入れてもらった。そこで私も「休憩したせいか、大きな人?大きな体?になって戻ってきたよ」と冗談で返す。
 40歳になった時、いつも元気だった私が体を壊したことがあった。その際、健康と運動の大切さを教えてくださる人(師匠)に出会った。県外のマラソン大会にも出かけた。転がった方が早い私は、マラソンなんてとても無理。数キロのジョギングを楽しんだ。誰でも参加すれば選手、生まれて初めて選手として大会にエントリーしたのも良い思い出だ。季節の移り変わりを肌で感じ、夜空の星の美しさも、アウトドアの楽しさも大いに味わった。しかし仕事が忙しく、志半ばでジョギングは続けられなかった。その後、それをウォーキングに変え、新たな楽しみも見つけた。カーブスに入会する前も、ウォーキングだけは続けていた。もともと、甘ったれで怠け者の私は、いくら景色を見ながらとはいっても、一人で黙々と歩くのは性に合っていない。ウォーキングをしていることで、運動を続けていると勝手に考えていた。
 さて、最初に入会したこと、再入会のことに話を戻そう。2回とも、私の悩ましい体の変化に多いに関係している。最初に入会したのは今から7年程前のことである。退職し、人とはできる限り付き合わないと生活していた時だ。ゆっくりした生活との引き換えに、体重が増え足底腱膜炎になった。その時出会ったのがカーブスだ。カーブスの看板を見ただけで、突然飛び込んで話を聞き、筋トレを始めたのも、懐かしい思い出だ。医院通いをしながら筋トレをし、治した事をすっかり忘れていた。今回退会中の8か月間で順調に?見事8キログラム体重は増えていた。体重計にのることもなく過ごしていたので、増加の実感すらなかった。同時に、治ったはずの足裏の痛みを時々感じるようにもなった。まだ不幸!は重なる。毎日腰かけていたソファーを買い替えることになった(私の重さに、私の体ではなく、先にソファーが悲鳴を挙げたのだ)。コロナが怖く外にも行けず、暇を持て余し、まるで時が止まり、人生が変わったかのように思えた。ただウォーキングだけはなんとか続けていた。
 以前から、カーブスで元気になり爪が伸びたと聞けば、そんなの年寄りだもん、何もしないから伸びるのは当たり前だよ(苦髪楽爪説だ!)。筋肉が付いたと聞けば、過去に何にも運動してなかった人が、初めて筋トレしたからだよ、と真剣に聞いてもいなかった。今も同様だが、私は頑張って筋トレしてもほとんど汗もかかない。筋肉痛とも無縁で脈拍も上がらない。2周しても疲れもしない。しかしこの体重の増え方は尋常じゃない。やっぱり続けていた筋トレは、効果があったのかもと、ヒネクレモノの私も考え直した。体重の変化のみならず、日々の過ごし方も知らず知らずのうちに、幸か不幸かカーブスにジワジワ侵入?洗脳?されていたのだ。しかし振り返ると、コーチたちは私のというより、トシヨリの意見?わがままをよく取り入れてくださる。着替えコーナーに椅子を入れてもらいたいな(立ってズボンの着用や靴下は危険だから)とか、サーキットの入り口が分からないので、ウロウロしちゃうから決めてよと言えば、ちゃんと対処してくださる。腰かけて室内シューズを履き替えたいと伝えれば、小さな椅子も用意してくださった。聞く耳を持ち、安全に配慮していただけるのは心強い。トシヨリと若い人では、視点も違うから仕方ないが、やっぱり小うるさい、わがままなトシヨリに違いない。
 コロナ禍と同時進行の8か月間。重ねてきた年齢もあるが、辛い知らせや残念な知らせを聞くことも多かった。スポーツ大好きだった学生時代からの友人は、プールで泳いでいる最中に病を起こした。世界中を元気に仕事で飛び回っていた先輩は、朝起きたら動くことができなくなり、今もリハビリ中だとか。運動と健康の大切さを教えてくれた師匠の、突然の体の不調もまだ続いている。病気自慢じゃないけれど、私だって、絶え間ない煩い耳鳴りに悩む。いくら寂しい人生といってもこの騒ぎには閉口する。クラス会の予定をしていたことだって、どこかに飛んでしまった。この先、気持ちの不調だってたくさん出てくるだろう。必ず誰もが行く道で、今までにない経験をするのが年を重ねるということ。難儀なことだ。周りに迷惑をあまりかけず生きていくには、どうしたらよいのか。何ができるのか、何をしたらよいのかと考えてみた。結果、再度カーブスに入会することに決めた。
 再入会して、健康のためには筋トレが基本であり、必要だと改めて分かった。コロナの健康二次被害では体のみならず、心も壊すこと、2週間で3.7年分の筋肉が減ることの怖さなど、カーブスの壁にあるお知らせが今まで以上に身近に感じる。後日談だが、増えた体重は減らないけれど、健康維持だけはできている。負け惜しみのようだが、それこそが大事なことだ。痩せられたらもっとステキとは思うが、隠してあるマスクの下のシワが増えてはと考え、現状で我慢することにしよう。せめて早く鎖骨と肩甲骨を生まれさせるよう努力する。ヨタヨタせず楽に靴下やパンツを着用する。足の爪をおなかの肉と戦わず切る。ネックレスを自分で止め、おしゃれをする。等々。そう、昔とあまり違わず当たり前にできたらそれが最高。
 カーブスは特別な存在であっても、筋トレが特別な運動であってもいけない。自分の意思で動け、宿題のない自由が謳歌できること。それがご褒美。そして幸せ。この幸せを享受できるのも筋トレをしているからだと確信した。退会、再入会したことでそれに気づけたこと、気付かせてもらったことに、改めて感謝している。
 一刻も早くコロナが収束し、終息することを願う。以前のように、時にはマスクなしのランチも楽しみ、笑い、話をしたい。健康なうちに海外旅行にも行きたい。来週には私のとっておきの場所へ桜を見に行く。私の人生の「やり残しリスト」違う、違う「やりたいことリスト」には続きがある。足踏みをしたり、戸惑っていたら間に合わない。筋トレに励むとともに実行することを誓う。