カーブスエッセイ大賞2019結果発表

作品詳細

佳作

「運命のジム」

草薙素子様(59歳) カーブス曳舟(カーブス歴:1年5ヵ月)

 覗いたそのジムは思い描いていたものと反しとても狭く感じた。
 人がたくさん来る場所なのにこんな狭くて大丈夫なのかな...という不安をよそに一人の女の子が明るく私を招き入れた。

 筋肉バカな同僚がそこを勧めてくれた。カーブスはかなり多くの駅近にあって女性オンリー。
あまりハードな感じでは無いらしい...という情報だけだったが私の興味を引くには充分だった。

 子供が小さい頃スイミングスクールに通っていた。
プールの上階にはこじんまりしたジムがあった。
子供が終わるまでの待機時間をそのジムでトレーニングする事にした。
初めて見るマシンの使い方を通り一遍に説明され、トレーナーは去ってしまった。
これでいいのか?もっとやるべきなのか?どこに効いているのか?
自問自答しながら自分で立てたプログラムをこなしていた。
プログラムといっても1つのマシンを10回などと回数を増やしたり減らしたりするだけ。
女性客は皆無で時折、男性客が黙々と腹筋を鍛えて大量な汗がほとばしり
マシンがそのフェロモンまみれになった。
そこに通うたびその臭いが気になり出し、話す相手も居ず、お客放りっぱなしのそのジムに。3か月でリタイヤしてしまった。

 子育てが終わった頃、腰痛に悩まされていた。
1年に3回来る悪魔のぎっくり腰にビクビクしていた。 
自身の腹筋背筋で鍛えたコルセットが一番だよと整形外科の医師は言うけれど
子供に足を押さえてもらい、腹筋を鍛え始めるとあの悪魔が必ずやって来た
自分筋肉のコルセットを持ちたい!でも方法が分からない!
ガンジガラメになっていた私の相談相手が自身の筋肉をこよなく愛する同僚筋肉バカだ。
 同僚が勧めてくれたカーブスの他に、もっと家近のジムにも見学予約を取っていた。
そのジムに電話を入れた時の内容が、以前のフェロモンジムとイメージが重なりここもまた放置なのかな...そんなジムしか無いのかなと不安を抱いた。
そこで女性しか入れないという一風変わったカーブスを最初に訪れる事にした。
  
 ニコニコ明るい娘の様なその女の子は何と店長だった。
彼女が説明している直ぐ側で、私と同じ年代の女性がマシンを上手に動かしていた。
店内が明るい、スタッフが常に話しかけている、そして何よりも清潔!
店長の説明も半分聞くか聞かないかで既に入会を決めていた。
 入会後、会社帰り週3~4日せっせと通った。
5年、10年と通っている方達にアドバイスを貰える様になった。
1年近く何事も起こらなかった。
腰痛ともおさらばかと思った矢先、靴下をはこうと屈んだ瞬間それはやって来た。
落ち込んでスタッフに泣き言をこぼした"ここに通っても意味が無い"
スタッフOちゃんは優しくキツイ一発"ここでリタイヤして元の生活に戻っても元のまま"
全くその通りだった。
そしてここのスタッフは皆このトレーニング方法が私達の為になると大確信してる。
それならば私も全身全霊でそこに乗っかってみようと決心した瞬間だった。
毎回彼女たちは同じ事を繰り返し私達に声掛けする。
"腹圧、背中をつけて、肩の力抜いて、"
最初はいちいちウザいなー分かってるよぅ毎回同じ事をーやってるって
と訝っていたが段々気が付いた。
同じ事を言い続ける大切さ、その内容こそが筋肉を付ける一番の近道なのだと。
腹圧と言われてハッとお腹を凹ましてもそれは決して遅くはない。
その積み重ねが大事だったのだと今なら分かる。

 通い続けて2年近く、あれから悪魔の気配は全く無い。
これからも近づけさせない。

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