【専門家監修】乳がん術後のリハビリや体力低下に悩む方へ|40代50代60代の体験談

日本人の2人に1人が、一生のうちに一度はなると言われている「がん」。
なかでも、女性のり患数がもっとも多いとされているのが「乳がん」です。治療法はがんの性質や進行度(ステージ)によって実にさまざまですが、治療や手術・リハビリが終わった後も、体力がなかなか取り戻せず不安を感じている方、後遺症に悩んでいる方も多くいることと思います。
ここでは、乳がんになられた方の実際の経験談をご紹介します。
※経験談は、女性だけの30分フィットネス「カーブス」が実施するカーブスエッセイ大賞に寄せられた実際の作品です
「乳がんをお持ちの40代~60代女性の経験談」

美和さん(52歳)
「(作品より)大きな病気もなく自由に過ごしてきた人生が、がんの告知で一変しました。『まさか自分が』と。治療が決まった当初は早く職場復帰したかったけど、治療は手術療法、薬物療法、放射線療法のフルコース。その影響から、今まで通り仕事をするのは難しいと思い、職を手離してみようと決心しました。」
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その後、長年の夢にもチャレンジされたという美和さん。前向きに過ごせている理由とは?

美紀さん(48歳)
「(作品より)ステージ1でした。自覚症状は何もなかったので、ただ驚くばかりでした。
完治を目指した私は主治医の先生に、『全摘でお願いします!!悪いもの全て取って下さい!!そして少しでも長く生きたい!!』とお願いしました。こわくなかったか?と聞かれれば正直、こわかった・・・でも私はがんに負けたくありませんでした、だからこそ全摘手術を受け、全て取りのぞきたかったのです。」
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術後、現在もホルモン療法を続けている美紀さん。ですが顔色も体調もよく、元気に日々過ごせているそうですよ。

美智子さん(67歳)
「(作品より)ある日見つかったTシャツの染み。25年前に母が72才で左乳房全摘手術を受けていたこともあり、『これって、乳がんかもしれない』と思いました。そして乳腺外来での検査の結果、乳管内に出来たがんが見つかりました。」
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術後、退院後も「できる範囲で体を動かしていた」という美智子さん。
術後の不調に悩む方へ

乳がんの治療法はがんの性質や進行度(ステージ)によってさまざまですが、他の臓器に転移していることが明らかな場合を除き、手術によってがんを取りきることが基本となります。手術期間は体を動かす機会が減りますし、体力を大きく消耗するため、その後うまく体の調子を取り戻せず不安に感じている方もいるかもしれません。
リハビリや体力づくり、どう過ごせばいい?

乳がんは他のがんと比べ比較的若い年齢で発症することが多く、術後も治療が続いていくケースがほとんどです。日常生活に戻ったあと、少し体調が悪くても仕事や家事で無理をしてはいませんか?治療により万全の体調ではないことを忘れず、自分の体に耳を傾けながら過ごすことが大切です。
とはいえ安静にし過ぎてしまうのも体にとってあまりよくありません。とりわけ体力づくりには「栄養バランスのよい食事」「十分な睡眠」、そして「適度な運動」が不可欠。適度に体を動かさないと体力はさらに落ちてしまいます。医師から許可が出たら、できる範囲で体力をつけるための運動をすることが必要です。
おすすめの運動

有酸素運動(代表例:ウォーキング、水泳など)
有酸素運動には、心肺機能・全身持久力向上の効果があります。続けていくことで、呼吸が乱れにくくなったり、疲れにくくなったりすることが期待できます。

筋力トレーニング(筋トレ)
じつは筋肉と体力は密接につながっていて、筋肉の量が減ると体力も比例して低下してしまいます。体力を取り戻すためには、筋肉を鍛えて増やす運動「筋トレ」がとても効果的です。とくに下半身や体幹(お腹・背中まわり)の大きな筋肉を鍛えると、より効率よく筋力アップできるのでおススメです。
運動時のポイント
治療による低体力やホルモン状態の変化などにより、激しい運動を行うと、かえって炎症に影響することもあります。また女性ホルモンの分泌を抑制するがん治療をしている方が筋トレをするときは、正しいフォーム・力の入れ方で行わないと尿もれ、頻尿などの排泄の不具合や骨盤臓器脱を招くなど、骨盤底や体幹にとってよくない場合もあります。
体調に不安がある方は、力の入れ加減や腹圧のかけ方をコントロールできるインストラクターのいる施設を選ぶと、適切な強度で運動できるのでよいですね。また自分から言いにくいセンシティブな体の悩みも、知識のあるインストラクターがいれば相談しながらサポートしてもらえるため安心です。
運動は後遺症・再発防止にも効果あり
体を動かすことは、術後の後遺症にもよいとされています。たとえば「傷口のまわりや腕が引きつり、あがりにくい」といった症状も、できる範囲で動かしていくことで次第に可動域が広がる場合が多いです。
全身を動かすと血流やリンパ液の巡りがよくなり、辛いむくみを和らげることにもつながります。(すでにリンパ浮腫と診断されている方は、医師に相談の上、弾性包などを着用し適度に圧迫した状態で行いましょう)。また運動で脂肪を燃やすことは、乳がんの再発リスクを高めるとされる「肥満」の予防にもつながります。

運動が術後の死亡・再発のリスク、QOL(生活の質)にもよい影響を与えるということは、科学的にも証明されています。近年の研究では「乳がんと診断された女性のうち、ある一定以上の運動(週に1時間程度のウォーキングに相当)を行った女性では、ほとんど運動をしていなかった女性に比べ、乳がんの再発リスクがおよそ25%、乳がんによる死亡リスクがおよそ35%も低くなっていた」というデータも報告されました。

監修:女性医療ジャーナリスト 増田美加さん
エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆・講演を行う。女性誌やWebでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。

女性だけの30分健康フィットネス「カーブス」について
女性だけの30分健康フィットネス「カーブス」は、1回30分で筋力トレーニング・有酸素運動・ストレッチをバランスよく行える運動施設です。1人ひとりの体調や体力に合わせて強度を調整できるので、無理なく安全に運動をすることができます。
また、運動の仕方はプロのコーチがサポート。相談しながらトレーニングできるので安心です。実際に、乳ガンをはじめさまざまな症状をお持ちの女性が、ご自身のペースでカーブスへ通われています。「運動できるか不安・・」という場合は、無料体験ができますので、お気軽にお試しください。
※運動を始める前に主治医とご相談いただくことをおすすめします