平成二十五年十月、娘が出産のため入院中の時だった。突然私の左肩に激しい痛みが走り、その痛みは一晩中続き、体を横たえることもできず、一睡もせず夜が明けるのを待った。そして、すぐ近くの整形外科医を受診した。もちろん、すぐに痛みは治まらなかった。ちょうど五十肩に似た症状でもあったが、石灰沈着性肩関節周囲炎!!約二か月半の通院となったが、左腕がまっすぐ上がったのは、その後しばらくしてからだった。
というわけで、せっかく娘は里帰り出産したのに、産後の大事な時期に私は何の手助けもしてやることができず、本当に情けなかった。逆に私が面倒をみてもらうことになってしまったのである。日常の何気ない動作ができなくなることの辛さを十二分に味わった。
そして、私は同時にとても驚いたことがある。クリニックの待合室が、私より先輩と思われる高齢者でいつもいっぱいなのだ。車椅子の人、杖をついている人、腰が曲がっている人、介添えの人に連れられてゆっくりゆっくり歩いている人・・・・・この光景は私には衝撃的だった。そう遠くない将来の自分と重なり、危機感を覚え、健康でなければならないという思いをいっそう強くした。
もともと健康診断なるものは毎年受けているのだが、必ず「運動するように。」と言われてきた。HDLコレステロールの数値が低い。血圧は高めだ。秘かにスロージョギングに挑戦したこともあるが、すぐ挫折した。ダンベル体操は効果を実感できるまでになったが、ひとりで続けることの限界と難しさを知った。だが、何かをしなければならないと思っていた。新聞、テレビ等では健康に関する情報量がとても多い。筋肉は年令とともに減少することも、運動の大切さも重々分かっていた。いかに実践するかが問題なのだ。
そのような時、偶然にも最寄りのカーブス教室のチラシが新聞に入った。関心があったので大切にとっておいた。それから間もなく友だちからカーブスに通っているという話を聞いた。別の教室なのだが、元同僚たちも何人か通っているという。このタイミングでこんな話を聞いて、私の心は動き始めた。「行ってみようか。」だが、運動の苦手意識が強くて、なかなか踏み出せない。でも、何もしなかったら何も変わらない。勇気を振り絞って電話をした。まさに、健康意識が運動の苦手意識を越えた瞬間だった。そうして、すぐ入会することになった。
今、週三回通うことを目標にしている。たった三十分間というが、私にとっては、かなり濃密な三十分間である。マシンは最大限の効果があるように、意識して体を動かすようにしている。一周すると汗が出始める。いつもコーチは「調子は?」と声をかけてくれるし、「恵子さーん!」と呼んでくれる。心地よい空間の中で、母でもなく妻でもなく、ひとりの女性になる。「いいですねぇー」なんて言われると、ますます張り切ってしまう。入会時には腹筋ゼロだったのに、今ではずいぶんできるようになった。肩こりもなくなり、姿勢もよくなったような気がする。階段の上り下りも楽になった。ひとりで運動していたら味わえない心と体の充実感!この充実感こそが、前向きになれる源なのかもしれない。すばらしい教室に出会えて本当によかった。
団塊の世代が後期高齢者になると、あちこちのクリニックの待合室はあふれてしまうかもしれない。少なくとも私たちは、今から自分にできることは自分で鍛えなければならない。自分のために筋力をつけることは、家族のためでもあるし、ひいては社会全体のためでもある。なんて大げさかもしれないけれど、そう思いつつ、ひたすらカーブスに通い続けたい。心と体がいつまでも元気であるように・・・・。