平成17年秋のある日。雑誌の「料理レシピ」を見ていた私に、二男が「お母さんは絶対無理!痩せませんよ。」と喧嘩を売るように言い放った。彼の眼には「やせる簡単料理レシピ」の文字が映ったらしい。私は「簡単」にひかれて見ていただけなのに。普段なら、スーッと流れていく言葉なのだが、珍しくカチンときて彼を見た。二男曰く、「だいたい、我が家にはヘルスメーターないじゃん。お母さん、嫌いなんだもんね。」痛いところを突いてくる。まさにその通り。確かに、私の「いつか欲しい物リスト」に一度も登場したことのない物ではある。反論なしで会話終了。妙な空気だけが漂っていた。


その数日後、大ファンのタイガースが優勝、勤務先のあるショッピングセンターで大々的な「優勝セール」が開催、なんと私は、衝動的に体組成計付きヘルスメーターを「特価」で購入、更に勢いでサクサク初期設定を済ませ、ためらうことなく乗ってしまった、あれほど嫌いだったのに。恐る恐る目にした数字...3桁の大台まであと一息の「体重」に改めて驚いた。「体脂肪率」とやらは49パーセント。こちらは驚きより製品の性能の良さにすこぶる感心した。何よりショックを受けたのは「体内年齢」。表示は69歳、私の母の実年齢と同じ。「私の体の中は、老けすぎだよね...。」
 無頓着な私も、これらの数字の意味を理解しだすと危機感を覚えた。病気にならずにいたのが不思議、きっと何かの予備軍になっていたに違いない。今後、二人の息子たちの前途に迷惑かけない為にもここは一番、痩せるしかないと決心した。我が家にヘルスメーターの登場がきっかけで、私のダイエットがスタートしたのである。
とにかく大食家だったので、食事量を人並みにするところから、そして、心がけて「歩く」「動く」ようにしたら、一年で30キロ近く体重を落とすことに成功。二年目には、精神的な疲労や喉のポリープの手術なども加わったこともあって、一時、更に10キロ近く落ちたこともあった。三年目、四年目と大きく減ることもなければ、リバウンドもなく過ごせた。七年目の現在は標準体重。
一応、目標達成したので、体重管理を怠らないようにして、少し緩めるか、と思っても、今度は太ることが怖くて「拒食症」ではないものの、食べられなくなってしまったのである。人間の脳は敏感で、そうなると、少量しか口にしなくても、体に蓄える方に導くらしく、減少するどころか、逆に増加傾向になる。悪循環でますます、食べにくくなる。更に同じ頃、住み慣れた場所から引越しをしたら、環境も一変し「思いついたら歩く」運動のちょうどいいコースが見当たらず、全く「歩く」機会も失い、体重管理がおろそかになってしまったのである。そうなると、ことらの事情など関係なしに、体重はジンワリと増加、反比例して、体力は急速に低下していく。
―何とかしないと、非常にまずい...。
「体を維持するにはきちんと食事しないといけない」と私の鈍い脳には極力教え込むとして、問題は「運動」である。
 遠距離通勤に勤務形態がシフト制...時間的に制約があり、お金もかけず、一体何ができるだろう。スイミングもダンスもやってみたいものはたくさん...あるにはあるが。困り果てて、慣れないパソコンを駆使、インターネットを使い、当てずっぽうのいろんな言葉を入れて検索してみた。いくつか、検索されてはきたが、どれもピンとこない。
―私の条件がわがまま過ぎるよなぁ。
諦めかけていたら、「女性だけの30分健康体操教室カーブス」の文字が目に留まった。一体何だろうと思って、ホームページに進んでないようを確認。「自分の都合のよい時間で予約無し」「女性だけ」「30分」...読んでいるうちに、私にぴったり。すぐ、場所を確認。何と、私の行動範囲内になるではないか。「これも何かの縁」と早速、仕事帰りに立ち寄ってみた。何せ遠距離通勤、辿り着いた時には閉店していた。残念でならず、翌日再度挑戦。中から軽快な音楽が聞こえているが、クローズの札がかけられていた。今日もダメかと帰ろうとした時、偶然、扉が開き、メンバーさんが出てきて、目があった私に声をかけてくれた。私は目的を話し、出直すと言うと、わざわざ、中のコーチに声をかけてくれ、私は中に通された。
すでにトレーニングは終わって誰もいなかったが、コーチは私の話を聞いて、親切にいろいろと教えてくれた。私はますます「間違いない、これだ」と確信し、無料体験を経て、正式に入会した。その日は私の48回目に誕生日だった。
私は第一回目のカウンセリングで大変な衝撃を受けたのを覚えている。私は、自らの生活・食習慣を見直すことでダイエットに成功、今後も、健康を意識する為にもリバウンドをしない為にも、「ダイエット=食事の管理の甘さに気づかされた。「歩く=運動」で十分だと思っていた。そこがまず違うのである。
『「食生活の改善」は基本中の基本、「筋肉を作る」為にもバランス良い食事は不可欠である。』は当然。ここからが肝心。『体を作っている「筋肉を鍛える」ことは、生活習慣病やら骨粗鬆症やら年齢を重ねていくにつれてついて回る病気を予防する為にも、高齢になっても自分の力で歩く為にもとても重要。だが、「歩く」だけでは鍛えるには不十分である。』ということを知ったのである。「健康」を意識してもなかなか行動に移せないでいる人が多いと思うが、たった30分で、心身ともにリフレッシュでき、更に「健康」を維持できる、いいとこみつけたなと嬉しくなった。


私は、残念なことに仕事の関係で1週間に1回か2回しかカーブスに通えないのだが、一年後、職場の健康診断の結果を見て驚いた。数年来、悩まされ続けていた「コレステロール値」が正常値になっているではないか。これもカーブスとの出会いがなければ有りえないわけで、感謝の気持ちでいっぱいになった。身体的な変化の他にも「健康」に対する知識も増え、偏っていた「ダイエット」も修正、現在はきちんと食べられるようになった。ただ、仕事で不規則な食事になりがちなので、「プロテイン」も欠かさず飲むようにしている。おかげで風邪をひきにくくなった。また教えてもらったことを受け売りで恐縮だが、職場の同年輩の同僚に「筋トレの大切さ」や「メタボ・ロコモの怖さ」をなどを熱く語り、感心されることもしばしば。
最近、カーブスに行く目的が増えた。「筋トレ」の他に自分を取り戻す為に行くのである。マシンを動かす私は、ただの「私」。ここ一年程、公私共に精神的に参ることが多く、重たい気持ちを吹っ切る為に、1回でも多く、少しでも理想のフォームでとマシンを動かすと、不思議に身体も軽くなり、また頑張れそうな気になるのである。


「お待ちしていました、由紀子さん」「また来て下さいね」この声を聞きたくて、私は今日も行くのである。「カーブス」こそ、私の「パワースポット」なのである。