この春で入会して丸二年になる私。

 二年前の冬に、椅子を踏み台にして本棚上段の画集を取ろうとした時、転倒して、右手頚を骨折してしまった。
その折りに、骨粗鬆症もわかり、(なんで私が、、)と、全く身に覚えのない事態だった。

 五年ほど前に慢性の心臓病にかかるまでは、山歩き、ランニングと運動もしてきたし、食べ物にも気を付け、日光に当たることも大切と、自分なりに骨量に気を付けていたのにと、我が身に起きた不運を嘆くばかりだった。
 利き手をギプスで固定され、外してからは鬼のように痛いリハビリと、人生で初めての整形通い。私の骨折を聞いた高校の同級生Y子が、母上が骨粗鬆症になったのを契機に、自分も母上と生活習慣が似ているし、予防になるかもと、地元のカーブスに入会して三年になると教えてくれた。
 「あなたの町にもあるわよ。私の紹介で入会すれば?二人とも、Tシャツがもらえるわよ!ククク!」と背中を押してくれた。

 整形医に相談すると、骨の回りの筋肉を鍛えることは、骨の状態の改善にもなるとのことで、とにかくやってみようと即入会。

 

 私の主義?というほど、大げさなものではないが、美容や健康に過大の手間暇、費用をかけるのは、好きではない。月謝も手頃、一回三十分という手軽さも私に合い、週に三回を基本に通った。
 灼熱の夏も、木枯らしの冬も、めげずにワークアウトに打ち込む私なのに、マガジンで効果を披露しているような会員となんでこんなに違うのかと思えるほど、数字的には顕著な変化がなかった。
 とりあえず、一年は真面目に取組み、その後はまた、考えようとしているうちに、一年が過ぎた。これという改善もないし、仕事の合間に抜けて通っているので、時間的にもきついし、退会したいとスタッフに相談した。

 数字は個人差がある現れ方だし、せっかく運動の習慣を持続して、貯筋してきたのに、これで辞めたら、あっという間に元に戻る、せめてあと、ニ、三年、やってみて、変化を実感できてから考えれば?と説得され、それもそうだと、素直に思い直して、続行することにした。

 その夏に、会員で、同じ駅から電車に乗るSさんがご自宅で転倒されて、肩を骨折されたと伺い、心配していたが、主治医も驚く回復力とのことで、ワークアウトに復帰されたSさんは「ほら、見て!」と、誇らしげに肩の上まで手をあげて、回して見せてくれた。
 たしか会員になられて4年目とのことで、私より、三、四才年長の方だが、継続の効果はスゴイものなんだなあと、あらためてワークアウトの力を見せられた思いだった。

 

 さて、今年になってから、片方の膝が痛くなったので、少し通うのを休んでいたところ(カーブスに行かなくちゃ、行かなくちゃ)と思わないで済むのが、こんなにラクチンだったのかと感じるようになった。年明けの計測は体重が二キロも増え、調整して戻すのにかなり苦労したという経緯もあり、代謝が上がっているわけでもないし、私には合わないのかもと、また、辞めたい気分がムクムクと頭をもたげて来た。
 中十日くらい空けて、カーブスの扉を開くと、前回に退会を翻意させてくれたスタッフが、しばらく来ないから電話しようと思ってたところと言われた。

 私の気持ちと現状をうなずきながら聞いて、真面目過ぎるのよ、美永子さんは。私も真面目な方だから、気持ちはとても分かる。数字に顕われない、来なくちゃならないとストレスになっている、ワークアウトが利いてる実感がない、と、思い詰めているんだなあ。もっと楽に考えてもいいのでは?来るのが嫌じゃなければ、せっかく2年近く習慣にしているリズムを大切にして欲しい。
 今、膝が痛いと言うけれど、これからは、膝が、腰が、肩がと、身体のきしみがいろいろ出ることを覚悟しなくてはいけない。それを軽減する意味も大きいのがワークアウトなのよ。と、親身になって諭してくれた。聞きながら、涙がこぼれそうになった。家族も友人も、私をこんなに励ますだろうか。
 勿論、商売?がらみということもあるだろうとは思う。しかし、私が骨粗鬆症の対処にと始めたことを思い出させてくれて、骨折後のSさんの回復ぶりにも触れ、私もSさんを見習いたいと感激したことも思い出した。

 

 もうすぐ東日本大震災から1年になる。仙台郊外に住む義姉夫婦や福島郡山にいる高校の同級生となかなか連絡が取れず、もどかしい思いをしながら、それぞれから無事と知らせてきた時のほっとした思いは忘れない。
 自分だけ呑気にワークアウトしていていいのだろうかと、気持ちがどんよりしたまま、過ごした後だったので、半月ぶりくらいにカーブスの扉を押した時のことを思い出す。
 マガジンで、カーブスが石巻地場産業の復興プロジェクトを支援している企画を読み、私もささやかながら、応援の注文をした。今回のプロジェクトだけでなく、女性たちのための女性たちによる視点からの援助のいろいろは、去年の震災発生時から、店内の掲示やマガジンでたくさん目にして、誇らしい仲間がいるのだと心があたたかくなった。

 

 身体の衰えは誰にもやってくるが、それに備えているかどうかは、自分で決めること。いくつになっても、震度七の地震に遭遇しても、自分で自分の身を処することができるように、身体の動く限り、カーブスに通うことを誓おう。
 以前のマガジンの表紙になっておられたのは、九十一才の大先輩だった。年齢に関係なく、その気持ちがありさえすれば、心身を強く保ち、日々を新たに迎えることはできるのだと、身を以って示してくださったような例だった。数字に振り回されることなく、参考程度に考え、日々のワークアウトで少しずつでも貯筋していることを誇りに、体重増は食事の調整も大切と、今更ながら気付いたスタッフとの二巨頭!会談であった。

 

 もう、辞めると言わないだろう。不整脈もある私には、自分のペースで出来るカーブスのワークアウトこそが、一生の頼もしい道連れでもあるのだ。頼もしいKさん、大らかな店長、いつも優しい笑顔のAさんと、スタッフそれぞれの持味が会員を和ませる。

 カーブスの更なる発展を心から祈念しつつ、この縁に深く感謝している。