何気なくみつけたスーパーのチラシの中にあった「骨密度を高める筋トレ」の文字に引き寄せられてカーブスの体験教室をのぞいてみました。見慣れないマシンがいくつもありました。
スタッフの分かり易い説明を聞いた後で何人もの女性が汗を流しながら生き生きとステップボードの上で足踏みをしたり、筋トレをしている姿を見て私もやってみようという気になり、早速入会しました。

四十代の頃縄跳びのやり過ぎで腰を痛めて座骨神経痛になり、立っていると足がジンジンしてしびれ、歩けない状態になりました。毎日整骨院に通い、半年位経ってようやく完治しました。快くなり出した頃整骨院の先生に足腰を鍛えるために登山を始めたい話をすると九州一円の山だったら足腰を鍛えるのにお勧めです と返事をいただき、四十三歳で山の会に入会しました。以来二十四年近く登山しています。

長女にカーブスに入会した話しをすると、「登山もしているのに又筋トレもするの?」と意外な反応でした。私は「歳をとっても貴女達に迷惑をかけず、いつまでも元気で自立していたいから。」と反論しました。今でもその思いは変わりません。

筋トレを始めてからあっという間に二年七ヶ月経ちました。始めた頃は筋肉ムキムキのイメージが濃厚にあって夫に内緒で出かけていましたが、今では堂々と「カーブスに行って来るよ。」とまで言えるようになりました。

私の通う教室はスーパーの二階にあり、広々とした空間で伸び伸びと筋トレできます。二十代から八十代の腰の曲がったお婆ちゃんまで元気に汗を流しています。
カーブスのドアを開けると若いスタッフが「知子さん、こんにちは」と明るく声を掛けてくれます。六十代の正真正銘のおばちゃんに名前で呼んでくれる人などいません。ルンルン気分で更衣室に入ります。

通い始めて二、三のマシンの使い方がよく分からなかったのですが、スタッフが丁寧に教えてくれるので習得できました。又我流になっている時もチェックが入ります。
私は週四回、月十六回を目標にしています。我家から往復時間を入れると約一時間なので寸暇を惜しんで通っています。ヨガ、書道、洋裁等の趣味の他に地域のボランティア活動もしているので多忙ですが、時間を縫って出来るだけ筋トレの時間を作ります。筋トレが終わるとポカポカ身体が温まって上着は脱いで次の目的地に向かいます。毎日することが多く、ボケッーとする暇もなく何事にも集中して取り組むので時間の使い方も上手になった気がします。これもきっと筋トレ効果でしょう。

筋トレを始めて十ヶ月くらい経った頃びっくりする出来事がありました。月初めの計測でウエスト、ヒップが大巾に縮んでいました。
自分でも信じられない思いでした。「知子さん入会前と比べるとヒップが八センチも縮んでいますよ。」の声に跳び上がりたい思いで、ますますやる気になりました。

それからの私は友人、知人に筋トレのことや成果があった話をいろんな所でするようになりました。登山の折にも「一生山登りしようと思うなら筋肉をつけたがいいよ。」と話します。友人の中に腰、膝、肩を痛めて苦しんでいる人が数多くいますが、そんな人は真剣に聞いてくれます。私の話を聞いて四、五人の友人が入会してくれました。ヨガ仲間で肩が上がらなかった友人は通う内にだいぶ肩が上がるようになり、いつもにこにこ笑顔でマシンを動かしています。病弱な長女の夫の母親も健康になるように福岡のカーブスに入会してくれました。友人がカーブスを通じて元気になっていく姿を見ると私まで元気をもらいます。

びっくりする出来事はまだ他にもあります。
ズン胴だった私の身体に大きな変化がありました。入浴の度にボディチェックをしますが、肩に少し盛り上がった筋肉のこぶ、そしてウエストのくびれが出来ました。心の中で"やったあ"と雄たけびをあげました。嬉しい限りです。私の習いごとの先生からも「随分身体がスリムになりましたね。何か始めたの」と聞かれ、堂々と筋トレの話をしました。
身体が随分と締まってきた上、寝つきが早くなり、快眠になりました。眠りは一日の活動源になっています。
新陳代謝も快くなり、食べても太らない身体になりましたのでもりもり食べています。血液の循環も快くなったので肌の艶も上々で嬉しいことずくめです。努力すれば報われることを身体で実感しています。カーブスの雑誌にも白蓮さんの長女、花道家で九十歳近い宮崎蕗さんやビオラ奏者の女性などが筋トレを励んでおられる姿が掲載されていました。
日本中、各界で活躍されている女性も頑張っておられると思うと心強く、誇らしくもなります。

入会の動機になった骨密度の数値はなかなか思うように上がりません。粘り強く頑張るしかないと自分に言い聞かせています。しかし夏山の縦走で一週間くらい山歩きした後は必ず体重や体脂肪は落ちます。連日、暑い中を七~八時間歩くので体力をかなり消耗するのでしょう。
いつ登山しても登りも下りもきつく、途中で止めようかと思ったことは何回もあります。しかし汗をふきふき苦労して山頂に立った時の壮快さは何物にもかえられません。時間をかけて頂上を極める程、達成感は大きく、下る時は苦しみを忘れ、次に登る山のことを考えています。趣味も筋トレも登山と同じで究極は試行錯誤しながら苦しみを乗り越えてやり遂げる達成感が目標です。

筋トレを始めてから登山の後、以前ほどの疲れを感じなくなりました。筋力がついてきたからでしょうか。帰りのバスの中で仮眠すると元気になり、帰宅してもいつものように家事がこなせるようになりました。汗をふきながら登山している時や筋トレのマシンを動かしている時が一番充実した時間で"生きている"ことを実感します。
私の夢は六十代でアフリカの最高峰キリマンジャロに登ることです。一、二年の内に実現するつもりです。キリマンジャロ登山を希えるために日々の努力を怠ってはならないと自分に言い聞かせています。
もう一つの夢(願い)は長患いすることなくピンピンコロリで亡くなることです。日頃から運動している人は比較的長患いしないと言われています。九十代になっても筋トレを続けていたら、きっと願い通りの死に方ができると確信します。
「体が変われば心が変わる、心が変われば毎日が変わる、毎日が変われば人生が変わる。」この言葉を信じて仲間と共にこれからも筋トレを続けていきます。