私は生まれつきの右股関節変形症で、四十歳を過ぎた頃から痛み出し、病院へ行ってレントゲンを撮り、 初めて右足の股関節が、全く脱臼しているわけではないが、少し変形して生まれていると知った。 小学生の頃から走るのが早く、高校を卒業するまで、いつも徒競走では一等で、リレーの選手だったので、信じられない。 その頃は何でもなかった。全く痛くもなくて、よもやこの私が!と、病院で知ったときは、本当にびっくりした。 それ以来というもの、整形外科通いが始まった。薬をもらい、痛み止めの薬だが、毎日飲むことになったし、 リハビリも始めて、足にダンベルを巻いて、上げたり下げたりする運動をした。 これは家でも毎朝、目が覚めると始めた。その甲斐あり、痛みは軽減したが、症状は序々に進み、遂に四十八歳の夏、 娘が小四の夏休みに入いるのを幸いに、その間に治してしまおうと、入院して、人工股関節にする手術を受けた。 左足は全く正常だ。右だけ正常でない。 しかし、手術のお陰で、また歩けるようになり、自転車もスイスイ乗れる。

 ただ中年太りなのを主治医の先生に注意されて、足への負担を減らす為にと、とにかく体重を落とすように言われた。 しかし、嫌味なことに、体重は増える一方で、食欲も旺盛。元気な証拠といえば、そうかもしれないが、 気にして、近くの血液サラサラ検査の可能な医院で、その検査を受けたところ、私の血管内はドロドロ状態で、 血栓が出来る寸前だ。先生にも脳血栓や、心筋梗塞になる危険性があるからと、注意された。 納豆を食べると、血液をきれいにするというから、しきりに納豆を食べてみた。しかし痩せないことには足に悪くどうしたものかと、 すっかり考えていたら、偶然私達の福生市にも、カーブスが出来た。 私はあまり興味がなかったが、息子がしきりに勧めてくれて、息子も心配してくれているのだからと、息子の為にも通ってみようかと、カーブスを訪れた。

 最初はヒヤヒヤした。 もしも、やたらなエステティックサロンのように、かなりな高いお金がかかるとか、何かを相当買わされるとかだったら、絶対断ろうと思った。 こう見えても、神経が優しく、気は弱い方なので、いかにも強気そうな店員が現れて、最初から高圧的な態度で接せられ、 つい負けてしまい、無理矢理入会させられたりしないかと、いろいろ不安は脳裏をめぐった。 しかし実際は、若いスタッフさんのお姉さんが説明してくれ、てっきり数万円かかります!みたいなことを言われるのかと思ったら、 そんなことはなく、トレーニング用品を買わされる心配もない。 「息子の為だ。私の為に、あんなに言ってくれてる息子が安心する」と、入会することにした。

 サーキットトレーニングは、実は知っていた。その少し前に放送されていた健康番組で、 偶然、有酸素運動と無酸素運動を三十秒づつ、交互に繰り返すというのを放送していたのだ。 番組では、どこかの会社が毎朝の朝礼のとき、ちょっとした体操をする会社はあるが、 そのサーキットトレーニングを取り入れていて、三十秒ずつ、数分間繰り返すのをしていたら、社員の中に、続々痩せたとか、 前より健康になったという人が現れたというのをしていた。 私もこれなら出来ると、早速毎朝目が覚めると、ベッドの上で腹筋運動を三十秒、 次に降りてその場でランニングを三十秒というのを、三分間だけ繰り返したら、じきに二キロくらい痩せて、びっくりした後だった。 カーブストレーニングこそ、まさに、そのサーキットトレーニングだったのだ。 「あっ、あのトレーニング法だ。これならいいかも!」と、すぐに感じた。

 そして始めて一ヵ月で、頑固な肩凝りが軽減した。結局三ヵ月で治ってしまった。 腰痛も軽くなり、普段忘れてしまっている。 体重も落ちたが、それより体が軽いのだ。仮りに体重自体は結構あっても、体が身軽で太っているのを忘れるくらいで、軽やかに動ける。 以前は違った。二キロくらい増えても、体が重いなあと実感し、全身ずっしりと、太っているのを感じたのだが、今は嘘のように体が軽い。 目覚めも良くて、あまり眠れないときでも、すっきりしている。 何より気持ちが前向きになり、いろいろチャレンジ精神が旺盛になった。 元々チャレンジャーな方だが、更にいろいろトライしたい気持ちが出て来た。 エッセイを地元のサークルに入会して習いあちこちのエッセイコンクールへ応募しているが、 昨秋あるコンクールに入賞し、この六月に発売される本に、私のも収録されて、全国発売になる。遂に念願の、自分の書いたものが本になることになった。 これを契機に、ますます頑張って書いている。夢は自分のエッセイ集を出すことだ。 幸い、その出版社の担当者の方が、私のエッセイを書けて、送ってくれたら、読んでくれると言ってくれた。 果たして本に出来るほど選ばれるかはわからないが、ここまで来たら、実行あるのみだ。

 最近姿勢がいいと、よく人から言わることが多くなった。 有り難いことに少し前に、私はクリスチャンで、地元の教会の信者だが、同じ信者さんの奥さんが、 私を見て、すごく姿勢が良くなったから、自分もそうなりたいと言われて、カーブスへ入会してくれた。 今でも奥さんは、お住まいの近くのカーブスへ通われて頑張っている。 人様から見て、貴女のようになりたいとか私みたいな者でも思ってもらえるというのは、女性としても、すごく嬉しい。その奥さんには、本当に感謝だ。 夫は九州男子で、家では何もしようとしない。古い人で、今どきの九州男子は、結構家のこともするが、夫は頑固に、家のことは女のすることだというタイプだ。 子供達も忙しくて、結局私しか家のことをする人はいない。倒れるわけにいかない。 家事一切、私に掛かっているので、ずっと健康でいたい。足はお陰で大丈夫だ。 いつかは、またずっと先に手術するのだが、少しでも長く持たせたい。 いつまでも二本の足で立って歩きたいし、自転車もスイスイ乗って、どこでも行きたい。 普段の買物も、大好きなライブも遠くのライブハウスへでも、見に行きたい。 その為にも、カーブスでトレーニングして足への負担を少しでも減らし、右足を大切に保って、ずっと頑張るお母さんでいたい。 別の信者さんの奥さんが、私のことを、ハッスルママさんと呼んでいるそうだ。 どこかエネルギッシュに映るのだろう。

 頑張れ、私の右足。 まだまだ捨てたもんじゃない私。 回りの方達にも明るい存在になれるようにと、今日もトレーニングに、カーブスの扉を開ける。