今日はいい日だったと思える日が時々訪れる。そうしょっちゅうとは限らない。誰だってそうだろう。調子いい日もあまりよくない日も当然ある。
 二千十五年カーブスエッセイ大賞準賞の文中に、「カーブスは気がよい場所」と書いてあった。検索したら、気がよい場所とは、運気があがる場所、心のエネルギーを充電できる場所とある。
 確かにカーブスに行って気が落ちることはまずない。心がおれそうな日も、身体の調子が悪い日も、踏ん張って行ってみれば気分爽快になってしまう。
 血液の循環が良くなり、脳が活性化するから?でも、それだけではない何かがある。懸命に健康維持を頑張る会員さんたちの「気」、それを応援するコーチの「気」、そして今日もなんとか元気にカーブスに来れたという私自身の「気」。それは全て上向きの「気」。下がった「気」も引きあげてくれる場所だ。
 さて、「今日はいい日だった」の、最初の話しに戻ろう。
 今日はとてもいい日だった。カーブスは最近体験希望者が多く、会員さんがどんどん増え、大入り満員。特に私の行く時間帯は開店スタートの十時なので、一番多い。私と同じようにみなさんも、先ずカーブスに来て元気に一日をスタートさせようという気持ちだろう。
 私が到着した時はすでに行列ができており、二十五番目だった私ははみ出てしまった。二十四名で満員なので、あと二十五分ほど待たないといけない。
「待てないから、今日はやめときます」とコーチに告げて帰ろうと、踵を返した。
 でも待てよ。せっかく片道二十分かけてわざわざ来たのだもの。ちょっと待った方がいいよね、と思いなおした。ちょうどその日は、同じ建物のスーパーの特売日。何と野菜が超安い。今年超高値の白菜も長ネギも新鮮で安い。よし今夜は寄せ鍋だと決めたら嬉しくなってきた。
 買った物を駐車場の車に置きに行ってカーブスに戻ると、ちょうど順番になった。
 同じく二十四人からはみ出た方とも初めて言葉を交わし、顔見知りになった。運動中はお隣りのマシンのご婦人が、私のアロマペンダントに気付き、声かけてもらい嬉しかった。
 さらに、運動が終わり帰ろうとするときに、突然声をかけられた。
「田添さんでしょ?お久しぶりです」
 十数年も前、娘を学童保育でお世話して下さった方だった。おまけに私の六十歳になる弟と同級生で、彼女の息子さんと私の息子がまた同級生とのこと。
「学童におばあちゃんがお迎えにみえてましたね」とか、「娘さんはいつも静かに本ばかり読んでました」とか、私の知らない昔を教えて下さった。
 三つも四つも嬉しいことが重なり、本当にいい日だった。待たずに帰っていたら、出会えない出来事ばかり。カーブスはやっぱり、「よい気」をもっている。
 カーブスに通い始めて五年目。一回も出来ず落ち込んでいた椅子からの片足立ちも、三十秒で十回以上もできるようになった。骨粗鬆症で内服治療を勧められていた私だったが、骨密度が年齢相応にまで改善した。何よりも嬉しい自分でも驚く成果だ。
 カーブスに通って助けられたことはまだある。
 数カ月前、私はなかなか眠れずつらかった。それでも不眠が続けばいつかは眠るだろうと、たかをくくっていた。コーチに声かけられたとき、そのことを話すと、すぐさま睡眠について書かれている本を貸して下さった。根来秀行著の『眠っているうちに病気にならない体をつくる本』。
 その日一気に読み、睡眠がどんなに大切で。不眠がどれほど心身に悪い影響をもたらすかを知り、愕然とした。このままでは駄目だとやっと気づき、すぐ受診。担当医も「早く来てもらって良かったですよ」と言って下さった。
 あれから数カ月。私はこんなに元気でカーブスに通えているし、非常勤の仕事も休まず頑張れている。
今日も力いっぱいマシンを動かした。思いっきり息を吸って、ふーっと吐く。
「呼吸というくらいだから、呼が先ず大事。吐き出してこそきちんと吸い込める」
以前何かで耳にしたこの言葉が好きだ。カーブスのマシンを動かしながらの呼吸は、まさにこれ。肺がふくらみ、身体に酸素がいきわたる気がして、なんとも心地よい。
 あの時、コーチが本を勧めてくれなかったら、私の身体は壊れていたかもしれない。
 あの時こうやっていたらとか、あの時言わなかったらとか、よく考える。人生は偶然の積み重ね。でも一瞬一瞬の扉を開けるときは、いつもこうやって助けてくれる誰かがいることに感謝したい。
 私には二十五歳の娘がいる。娘は遅くに生まれたので、同年代の人たちに比べ親との人生の時間が短いと、寂し気に口にすることがある。だから健康寿命をできるだけ延ばしたい。
 カーブスで見る私の夢は、将来娘と一緒にカーブスに通うこと。マシンを動かすのもやっとこさかもしれないが、娘と一緒なだけで頑張れそうな気がする。必ず老いていく身に思いを馳せると、そんな楽しい夢もまたいいなと思う。
 やさしい笑顔で、娘と一緒にマシンをぼちぼちと回りたい。そして、帰りには、
「あー、気持ちよかったね」と言いながら、二人で大好きなスイーツでも味わいたい。
 夢はかなうだろうか?でも思い描くと、不思議に楽しく、幸せになってくる。