「いいじゃないですか!」
 借りてきた猫のように、おずおずと先生の前に腰をおろした私に、先生は明るく言った。
 ついに血糖値が正常域におさまったのだ。
 日々、正々堂々と胸を張れるような闘病生活を送っていたわけではない。間食はするし、一日三食しっかり食べるし、食事に誘われれば、いつでも大歓迎。いたって意志薄弱で、人生の楽しみを拒むことができない。それでも薄氷を踏む思いで、今日まで十年生きてきた。薬を飲み、血糖値とにらめっこをしながら、検査に一喜一憂してきたのだ。
 そして三年前、同居している娘に「認知症の予防に」とすすめられて、断る自信がなかったので、カーブスに通いはじめた。そして週三、四回通って三年たった頃のある日、
「いいじゃないですか!」先生が驚きの声をあげられた。血糖値が飛躍的に下ったのだ。
「カーブスへ行って、筋トレしてます!」
 私はここぞとばかり胸を張って答えた。
 そして今回、糖尿病を発症してから十年、カーブスに入会してから四年目、念願を果したのだ。
 もちろん、先生には「お陰様で」とお礼を申しあげたが、本当に感謝すべきなのは、カーブスのコーチの皆様に、だ。
「ありがとうございます!」
 カーブスでうれしい報告をしながら、涙がこみあげてきた。
 いつでもカーブスのドアを開けると、
「こんにちは!」と明るい声が迎えてくれる。
 そしてエクササイズ中には、何か見つけては誉めてくれたり、「なるほど!」と思うような適切なアドバイスをくれる。人生でこれまで誰かがこんなに誉めてくれたり、励ましてくれたことがあっただろうか?この年にして初体験で、こんなにうれしいことはない。
 さらにもう一つ大発見をした。
「ああ、子どももこうして誉めて育てるべきだったのだ!」
 カーブスではじめて気付かされ、深く反省させられた。カーブスは、私にとって人生の大事な出会いだった。これからも明るく楽しく元気にカーブスに通いたい。そしてそれが、私の闘病生活なのだ。