カーブスに通い始めて、夏にはとうとう10年になる。こんなに続けられるとは正直思っていなかった。入会した時は、1年という単位も途方もなく長く感じた。すぐにギブアップしないための方策として、会費を年払いとした。自分自身に負荷をかけたのだ。
それが功を奏したものか、それ以降1年更新をくり返しいつの間にやら10年。
この10年は私の人生においても、ターニングポイントとなる10年だった。
入会前、退職に至るストレスや更年期からくる身体的不調もプラスされ〔うつ〕の暗やみの中にいた。家から出られなかった私に、外に出る勇気と機会をくれたのがカーブスだ。当時は通っている友人もいなかった。
当然〔紹介〕でもなく、入会する決意でドアを開けた。一刻も早く入会手続きを...の一念だった。あの時はそれほどまでに、まるで何かに引かれるように、もう決めていた。徒歩圏内、生活圏内にカーブスがあったことが、何より幸いだった。
元来〔動〕より〔静〕、〔外〕より〔内〕、習い事も長続きしなかった。自分でもそれがわかっているだけに、10年間続けられたことは奇跡的な快挙といえる。
気分が落ち込み誰にも会いたくない時でも、カーブスだけには通った。それが唯一私にできる課題かのように。そうして、帰って来ると疲れ果てまた家の中にこもった。いったいどれくらいの期間をそのくり返しで過ごしたのか...。
気がつけば、顔を上げて歩けるようになっていた。ずいぶん長い間、下を向いてしか歩けなかったのに。今となっては、いつどうやって...という記憶がはっきり思い出せないほど自然に〔うつ〕を克服した私がいる。
あれよあれよという間に過ぎた10年。これまでの人生で、最も速い10年だった。
 1人だった孫も4人に増えた。この春、上の孫は中学生に、下の孫は小学生に、それぞれ新一年生だ。彼らによってもたらされた刺激とパワーも、私の背中を強く後押ししてくれた。孫育ては、心身ともに健康でなければ到底やっていけない。
次から次に遊びを開発し、彼らは疲れることを知らない。加えて、マイブームも短期間で変わるため、頭の中も整理しておく必要がある。「ばーば、知らないのぉ?」という言葉は、プライドにかけても言われたくないのだ。頭も身体も同じように鍛えることは、たやすいことではない。自然の流れにさからわず、老化現象を楽しみながら、緩やかに進むのも年相応なのかもしれない。しかし、まだまだ抵抗してみたい。
彼らは、我が家に眠っていた息子たちのおもちゃで遊ぶのが好きだ。人生ゲーム、超合金の合体ロボット、昔のカードゲームや、ゲーム機のソフトも健在だ。
時代を越えて日の目をみたそれら〔お宝〕を、なんなく駆使する順応性に感心しながらも、一緒に遊べるばーばでいたい。アニメのキャラも、孫たち並みには知っている。ダンシングヒーローもランニングマンだって、そこそこ踊れる。そんなことに他愛もなく興じながらの孫との関わりは、60代の脳を活性化させてくれる。
 現役世代ではない60代老夫婦の、私たちの日常はとても穏やかだ。
変化に乏しく、ほぼ同じリズムで毎日が淡々とくり返される。孫たちの出現がなければ、静かな静かな日々なのだ。
かつて経験した息子2人の子育て期とは、また違った驚きの連続と緊張感を味わっている。60代にしてわかったこともたくさんある。20代の非力な母であった自分を思い出すと胸が熱くなる。20代より・・30代より・・40代より・・50代より・・今が一番健康で強くて、そして幸せだ。
生物学的な若さは失われたかもしれないが、精神的にも体力的にも60才を過ぎてからの方が強くなったことを実感している。
この10年間の充実ぶりは言うまでもない。自分で感じていることはもちろんだが、姉妹や友人たちにも指摘されているのだから、本物だ。心と身体はつながっているのだから。どちらも健康でこそ、自信を持って誇れるベストは体感だろう。
カーブスに通っていなかったら、どんな60代だっただろう...運動嫌いな私が、他のスポーツやサークルに参加することはありえないので、今でもうつうつとした世界をさまよっていたかもしれない。
 運動による効用は、よく知られている。
女性にありがちな動機は、やはりダイエットやサイズダウンを目指すものだと思う。
生活習慣病の予防、老化防止などが、年齢を重ねるにつれ真剣な動機となってくる。加えて、認知症予防にも...となると、にわかに本気モードになる。
もちろん、私も...。
今は孫たちから受けている刺激の数々や恩恵も、数年後には彼らも成長しこれまで程の密度の濃い関わり方ではなくなるはずだ。
孫パワーにばかり頼ってはいられない。
自力でなんとかしなくては...
 自宅からカーブスまで、ぴったり10分の道のり。入会した頃はようやくたどり着いた道のりも、今ではあまりにも物足りなくて遠回り・・寄り道・・道草が常となった。
車では気がつかないことも、歩いていると目線が変わりハッとすることも多い。
なんだか得した気分だ。
10年をクリアすることで自信もついた。
さて・・・・次の10年は・・・??