「あれ?」
私が右膝に違和感を持ったのは63歳を過ぎた頃だったでしょうか。
若い頃からスポーツや体を動かす仕事を続けて来たせいで、たしかに膝は酷使して来ました。でも、今までは痛くなっても気付かないうちに引いてしまっていました。ところが、今のこの膝の痛み。もう長いこと続いているのでは?それどころか、痛みが増してさえいるような気がする。
「還暦過ぎるとガクっとくるよ」と3歳年上の友達は言っていたけれど、全然大丈夫だと思っていたのに...。そう言えば、何となく自転車のペダルが重く感じたり...。

 筋肉は年と共に落ちていくのは知っていたけれど、筋力と体力に自信があった私には、まだまだ先のことだと思っていました。でもこれはヤバいかも...。
そう自覚し始めたものの、膝の痛みをごまかしながら仕事に追われ相変らず動き回っていました。しかし、2年後にはとうとう痛みが右足全体に広がって、腫れともむくみともつかない限界に達っしてしまいました。かかりつけの整形外科では、ヒアルロン酸注射にも挑みましたが、これがまあ痛いことこの上なく、「もう手術するー!」と叫んでいました。
 
 そして、紹介状を持って大きな病院へ。
人工関節のお話をひと通り聞き終わった後です。先生が「手術しても今みたいに動きたいですか?」とおっしゃいました。問診の中で、私が土日は2万歩くらい歩くと言ったからでしょう。当然、また今までみたいに動きたいために決意した手術です。「もちろん動きたいです!」と答えました。すると先生は「それなら人工関節よりこっちの方がいいかも知れません」と、「骨切り術」なるものを提案してくださいました。恐ろしい名の手術ですが、同じ病院にその手術の専門医がいらっしゃるとのこと。後日、私は「骨切り術」のための診察を受けることとなりました。

 「骨切り術」とは、膝の骨に切り込みを入れて、そこに足の骨の一部をはめて関節を矯正するのです。それによって、すりへった軟骨部分にすき間ができて痛みがなくなるというもの。これなら自身の膝を温存するので術後スポーツも出来るといいます。人工関節より治療は長くかかりますが、後のことを思えば私には合っていると思い決断しました。
2019年6月骨切り術実行。
しかし、術後は思ったより痛みが長引きました。本当に元に戻るのかと心配になるほど、なかなか思うように動けず、手術で筋力、体力もかなり落ちてしまいました。それでも、自分なりに体を動かし、リハビリに励み、何とか前向きになり始めた2年後のことです。なんと、雨の日に転び同じ足の大腿骨を骨折してしまったのです。
 
 人生には時として不運が重なることがあります。長いこと生きて来てそんな事いくつも乗り越えて来たけれど、この骨折は最悪の出来事でした。もう骨切りどころではありません。緊急手術で折れた太腿の骨に金属を添わせ、ヒビの入った他の骨を膝で固定しました。2年前の骨切り術には支障はなかったものの、同じ膝に釘が4本。3ヶ月半入院の大ケガでした。

 この3ヶ月半という日数は、当時67歳の私に大きな代償を与えました。あんなにむくんでいた右足は筋肉を失い今までにないほど細くなってしまいました。ちゃんと歩くことすらままならなくなり、前のように動き回りたいなんて夢になってしまったのです。もう多分、生きてるうちに筋肉が戻ることはないだろう。そう思いました。それでも何か出来ないものか。体力がないからスポーツジムにも行けない。行けてもこの足で何が出来るのか。仕事でも動き回わることも出来ず、全く何も出来なくなることが恐くて週に1日だけ楽な仕事だけさせてもらっていました。

 そんな時、友達がカーブスに行くと言いました。とっさに「私も行く!」と言っていました。翌日さっそく見学へ。12種類のマシンとその間のステップボード。これを2周するサーキットトレーニング。これなら自分のペースで出来る!体力がなくても少しずつ負荷をかけつつ自分なりのトレーニングが出来るのでは?そう思いました。

 始めてみると、年配の方も多くコーチの方たちも親切に指導してくださいます。今年の6月で早や3年が経ちます。体重も少し減り、何よりも体力がついて来ました。筋肉はなかなか戻りませんが、それでも少しずつ増えて来ています。

 元気を取り戻すために決断した膝の手術。その後の骨折というアクシデントで痛感した筋肉の大切さ。予想以上の筋肉を失ってしまいましたが、カーブスで少しずつでも取り戻せるよう死ぬまで頑張りたいと思っています。何よりも毎月カーブスに通うことが、今の私の日課であり楽しみだから。

 いつのまにか70代。でも、気持ちは若返っているような気がします。