令和5年5月5日、夫が亡くなりました。5月1日、私がカーブスの入会申し込みをして4日後のことでした。施設に入所して5年が経っていました。その間、コロナの流行でほとんど会うことの出来なかった夫に、施設からの真夜中の電話で、会えたのはもう亡くなってからでした。まだ温かい頬に触れても涙も出ず、何も考えられませんでした。
 
 そもそも、カーブスへの入会も、万が一夫を在宅で介護することが出来るようになった時のために、体力をつけておこうと思ったからでした。それがもう必要なくなったと思ったらなんだか空しく、目標を失ったようで寂しいのか悲しいのか分かりませんでした。通夜から始まる一連の告別の行事や相続に関するもろもろの手続きの合間も、私はそれらの煩わしさから逃れるようにカーブスに通っていました。
コーチの方から名前を呼んでもらったり、「よく来られましたね」と声をかけてもらったりするうちに、いつやめようかと考えていた私は「そうだ、これからは自分のために続けてみよう」と思いはじめていました。あと何年かわからないけれど、残りの人生を健康で楽しく生きてゆくために体力をつけようと思ったのです。

 それまでの私は、運動音痴のせいもあって、パッチワークや絵手紙など、体を動かさないことばかりが好きでした。あえて体を動かす趣味といえばガーデニングぐらいです。器具を使った簡単な運動と思いましたが、大きく速く動かすと想像より大変で、次第にうっすらと汗をかくようになりました。
でも初めは、考え事をしながら足踏みをしていて次のマシンに移るのが遅くなったり、手を入れるところに足を入れようとしたり、失敗ばかりでした。5年前に右足の大腿骨を骨折しチタン合金が入っているせいか、左右の動きがちぐはぐになり、運動神経の無さに落ち込むことも多々ありますが、その都度優しく指導してくださるコーチの方の笑顔に励まされながら続けることが出来ています。
 
 昨年の秋には、思い切って京都へのバス旅行にも参加いたしました。自分から話しかけるのが苦手な私ですが、バスで隣の席になるという方に挨拶をしたところ、家の方向が同じなので送り迎えをしてくださると言っていただき、初めて言葉を交わした方のご親切を受けることになりました。本当に有難く、カーブスの温かな雰囲気はこういう方が作っているのだなぁと思いました。それからは、声を掛け合う人や笑顔を交わす人も増えて、カーブスに通うことが楽しみになりました。
 
 この年代になると、健康状態に個人差が出てくるように思います。なにかしら不具合があるのは仕方のないことですが、明るく溌刺と生活している方も多くいらっしゃいます。前向きな考え方をするという精神面も影響するのでしょうが、やはり日々体を動かすことがなにより大切なのではないでしょうか。カーブスに通うようになって皆さんの笑顔を見るとそう思えてなりません。毎月の測定で体の変化を知り、たんぱく質を意識した食事を摂り、筋肉を増やす運動をすることが、少しずつではありますが、よい変化をもたらしてくれていることを実感しています。娘とふたりの食事は時にマンネリに陥ることもありますが、そんな時にはカーブスレシピがとても役に立ちます。血圧高めの私は、塩味薄めが気に入ってます。
 
 それと私は、サーキットの壁に貼ってある「一笑懸命」という言葉が好きです。体力作りだけではなく、なにごとも歯を食いしばって頑張るのではなく、笑顔で頑張れればとても素敵なことだと思うからです。
まもなく5月、夫の三回忌がきます。そしてちいさな庭は薔薇で彩られます。「今年も綺麗に咲いたね」と夫が言ってくれるでしょうか。旅行や趣味に元気で飛び回っている私を笑って見ていてくれるでしょうか。私が楽しそうに通っているのを見た娘が今年から入会しました。