「英子さんお疲れ様でした。今日も頑張りましたね」
 「はい、今日も頑張りました」
トレーニング終わりのコーチとの会話です。4年前の私からは全く想像できなかった姿です。

 風邪をひいて咳が続いていたある日、突然眠ることができなくなりました。体は疲れ切っていて眠って回復を図りたいのですが、眠気がこない。限界がきて入眠できたがハッと目が覚めて時計を見ると10分も進んでいない。ひたすらベッドの中で横になり、夜がとてつもなく長く感じました。
翌日「昨日は眠れなかったから昼間に眠くなるかな」と思っていましたが、一瞬ウトウトする程度でした。「今夜は眠れるだろう」とベッドに入りますが昨夜と同じ状態で朝を迎えました。「また眠れなかった。私、大丈夫かな?今日は1日中ボーっとしてきつかったけど今夜は眠れるよね」昨日より重くなる不安を抱きつつ、眠れなくなって3日目の夜を迎えました。
ベッドに入っても眠気は訪れず寝返りを何度も繰り返す。ベッドで眠れないならばソファーならばいいかもしれないと、クッションを積んでゆるやかな背もたれを作り、足を伸ばしてリラックスできるような体勢をとってみました。さすがに約2日間、深く長い眠りがなかったのでしばらくすると眠ったようです。が、やはりものの30分も眠りにつくことはできませんでした。暗い部屋の中「私はこのままちゃんと眠ることができずにおかしくなってしまうんだろうか?」「何でいきなりこんな状態になってしまったんだろう」次々とネガティブな想いが湧き上がり、不安感がどんどん重く暗くつのりました。
体も気持ちもギリギリ保っている状態でした。睡眠不足により頭はぼんやりしてやる気も出ない。顔色も悪く目の下のクマがとても目立っていました。このままでは普通に生活することができないと思い、病院を受診することにしました。
年齢による体の変化も感じてきたこと、もともと婦人科系が少し弱かったこともあり、何度かお世話になっていたクリニックを受診しました。眠れなくて不安な時間をしばらく過ごしましたが、実はこれは更年期症状が現れたことによるものでした。
漢方薬などの投薬と、朝夕それぞれ20分くらいの散歩をすすめられました。ちょうど初夏にさしかかり気候もよかったので、朝7時くらいと夕方に歩くようにしました。相変わらず寝つきが悪く何度も目が覚めるような状態だったので、体調や気分がすぐれない日は朝だけまたは夕方だけ歩いたりしました。一年近くそんな生活を続けていましたが、義父が病気になり中断することになりました。

 義父が入退院をしていた約10か月間は、コロナ対応の状況だったため、入院中は面会ができず、一時帰宅時は感染症などをうつさないよう極力外出を避けるような生活でした。いつ病院から呼び出されてもすぐに駆けつけられるようにと家にいることが多くなり、常に緊張していました。
義父を見送った後、自分のことを振り返ると階段の上り下りでドッと動悸がしたり、健康診断も過去最悪でした。「このままじゃダメだ」と思い何か運動しようと考えました。水泳やジムなども思い浮かびましたが、コツコツと長く続けられるものという点でカーブスに決めました。
コロナ禍でほとんど家族以外と話す機会がない中、カーブスに行くことを習慣にしてみようというところから入りました。
最初は他のメンバーの方々が和気あいあいと楽しげにトレーニングされている姿がまぶしくて、気後れしてコーチと会話することが精いっぱいでした。
 「早く以前のように元気になりたい」
 「頑張ってるのに思うようにできない」
結果を出さないといけないと焦る気持ちが強く、今思い返すと眉間にしわを寄せ、必死の形相でトレーニングをしていました。そんな中でもコーチはいつも笑顔で励ましてくれました。
 「英子さん今月も頑張りましたね。すごいですね」
 「最初の頃よりよくなってますよ」
いつもそんな言葉をかけてもらい、私はいつの間にか「結果を出さないといけない」という気持ちが薄れていきました。
半年、1年、2年...週3日カーブスに行くことを目標に通っているうちに少しずつ変化が表れてきました。姿勢が悪いとはわかっていましたが、正しい姿勢の取り方がうまくできませんでした。コーチの声掛けどおり腹圧をかけることを意識してきたら徐々に姿勢もよくなってきました。
 「私、結構頑張ってるね!」
 「今日もカーブス行けたし大丈夫!」と思えるようになりました。
同じ時間帯にカーブスでトレーニングする顔なじみのメンバーさんと挨拶したり、合間にちょっと会話するようになりました。
うまく眠れなかったりやる気が出ない日もありますが、薄紙をはぐようによくなっている気がします。この4年間「更年期」という揺らぎの期間を過ごしていてうまくできなくなったこともありますが、自分の心と体を見つめなおす機会にもなりました。
「あの時思い切ってカーブスに入ってよかった。あの時の私、偉かったね!」自分のことをたくさんほめてあげようと思います。
今日もカーブスに行くことができ、コーチに「今日も頑張りました」と言える日々に感謝し、楽しく過ごしていきます。
 あの時の私へ 大丈夫、元気だよ