朝目覚めた時の時間が、わたしは好きでした。
まだ何も書かれていないノートの頁のような、まっさらな一日が始まったんだ、と寝床の中で数秒間自由と解放感を味わってから、起き出すのです。
おっちょこちょいで忘れん坊なわたしは、日々いろんな失敗をやらかします。大きなものから小さなものまで...。そのうち小さいものに関してだけは、「昨日」とともに、一旦リセットされた気分になるのです。
清々しい朝、という表現には、このような心理的な要素も入っているのかもしれません。

 しかし、体に変調を来してからは、朝は愉しい時間ではなくなりました。
元々腰痛持ちだったのが、ふたりの子の育児と、同居の義父母の介護を経て、さらに悪化してしまいました。特につらいのは朝です。目覚めた時、気分的にはリセットされているのですが、体が言うことを聞かない。寝ている間血行が滞ったことにより、腰痛がさらにひどくなっているのです。さわやかな気分とは程遠く、駄々っ子のような腰をなだめながら、そろそろと起き出すのです。

 時は流れ、子どもらは成人し、義父につづいて義母も安らかに看取ることができました。ケアをする相手がいなくなった今、次にお世話をしなくてはならないのは自分自身だと感じました。そこでまず、腰痛を治そうと整骨院や整形外科に行ったり、そこで教えてもらった腰痛体操などを試してみましたが、なかなか良くなりません。
体を根本的に変えていく必要があるのかな、ジムなどで鍛えたほうがいいのかな、と思いつつも、運動が苦手なわたしは二の足を踏んでいました。
そんな折、動けないほどの激痛に襲われ救急車で病院へ。そのまま入院して手術となりました。椎間板ヘルニアが悪化していたのです。手術で腰の痛みが全て取れるかと期待しましたが、甘かった。神経を圧迫していたヘルニアを除去したことにより、激しい痛みはなくなりました。でも、元からある腰痛、慢性腰痛は消えません。
やはり、からだそのものを変えていくしかないのだろうと、思い至りました。

 カーブスのことは、以前から聞いてはいました。区の講習で手話を学んでいるお仲間にメンバーさんが何人かいて、それぞれご自分の家の近くのカーブスに通っていらっしゃった。そのほか遠くに住んでいる友人や、夫の親戚にもメンバーさんがいて、カーブスをすすめてくださったのです。
わたしが運動が苦手なことを知っているので、ハードなジムに行っても長続きしないだろう、カーブスなら楽しく続けられるだろう、という優しい気持ちからだったと思います。
幸い、家から歩いて7~8分のところにカーブスがあったので、昨年の夏、入会しました。この、家から近いというのがポイントで、体操のできる服装でそのまま歩いて行けるし、夏場は汗をかいてもすぐ家のシャワーやお風呂に直行できます。寒い冬は、通うのが億劫になりがちですが、行きは寒くても帰りは体がポカポカと温まっているので、それがカーブスに行くモチベーションになります。

 さらなるモチベーションの源となっているのは、毎日、元気で明るいコーチのみなさんに会えることです。
どのコーチも、やさしく丁寧に指導をしてくださいます。トレーニングの時、コーチがそばについてくれると「がんばろう!」という気になります。ひとりで黙々とトレーニングするジムよりも、こちらのほうが自分に合っているように思います。今日はどのコーチに会えるかな、と毎回たのしみです。

 マシントレーニングでは、最初のうちは力みすぎてグリップを強く握ってしまい、手のひらにタコができるほどでした。しかしこれでは、手や腕にばかり負担がかかってしまいます。
コーチの助言で、「グリップは優しく握り、手の力ではなく、体全体をうまく使ってマシンを動かす」、また「速さを求めるまえに、正しい姿勢で大きく動かすのが大事」ということを学びました。
また、インターバルのステップボードでは、大きく動くのは避けて姿勢をリセットし、体のゆがみや筋肉の状態を確かめてから、次のマシンに向かうようにしています。

 カーブスでは栄養指導も受け、食生活も変わりました。
実はわたしは、肉類が苦手で、魚も生はダメ(焼き魚や煮魚は好き)。大豆製品やその他の豆類と卵・乳製品はすべて好き、というかなり偏ったたんぱく質の摂り方をしていました。でも、カーブスのたんぱく質チャートによれば、効率よくたんぱく質を摂れるのはやはり肉、なんですよね。そこで、苦手なお肉も生魚(お寿司やお刺身など)も頑張って、少しづつ食べるようにしていきました。
そうすることで思わぬ副産物がありました。それは、宴会料理や旅行先で出される、いわゆる「ごちそう」(肉や生魚が多い)が食べられるようになったことです。以前はどうしても残しがちで、罪悪感を感じていました。そのために宴会や団体旅行そのものが苦手になっていましたが、今はそういうこともなくなりました。

 通い始めて8か月、少しずつ、体に変化が出てきました。見た目の変化はないようですが、体を構成する要素が変わってきたようなのです。体脂肪率が減り、骨格筋率が上がってきました。これは、毎月計測しているから分かることで、やはり自分の体の実態を数値で確かめるのは意義あることだと感じました。
そして、以前は全く関心がなかったスポーツ科学や解剖学の本も読むようになりました。
腰痛に関しては、まだ劇的な効果はあらわれていませんが、少しづつ良い方向に向かっているように感じます。何より、運動が苦手な自分が頑張ってカーブスを続けているということ自体が自信につながり「筋肉のコルセットをまとえば腰痛は必ず良くなる」という信念のようなものが芽生えてきました。

 腰痛改善のために始めたカーブスですが、気づけは自分の生活全般によい影響をもたらしています。
インドアの趣味ばかりで家にこもりがちだった自分が、1日1回はカーブスのために外出するようになり、それに絡めて散歩や文化活動も楽しむようになりました。食生活も変わり、苦手だった肉などを克服することで、宴会や旅行も楽しくなりました。
なにより大きかったのは、こころの変化です。苦手なことでも楽しくチャレンジすれば、それなりの成果があがることが実感でき、自信につながりました。そこで一念発起、好きではあるが学校の成績は散々だった理系分野で、何か人のために役立ちたいと、国立科学博物館ボランティアに応募しました。ダメ元で選考を受けたのですが、なんと採用されてしまいました。3月に研修を受け、4月からアシスタントボランティアとしてデビューします。博物館ガイドは立ち仕事ですが、不安はありません。カーブスを続けているからです。

 そして冒頭に書いたわたしの願い、「さわやかな気持ちで朝目覚めることができる」日も、いつかきっと来ると信じています。それは明日かもしれません。

 これからも夢と希望をもって、カーブスを続けていきたいと思っています。
コーチの皆さん、応援してくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。