「運が動く」と書いて「運動」という言葉は、以前私の街に講演会でいらした、かの世界的ファッションデザイナーのコシノ・ジュンコ氏がお話されていた言葉です。
この5月で私はカーブスを始めて12年目になります。気づくと「運動する」ということが習慣になっています。ですが、子どもの頃から典型的なインドア派で、「運動なんて疲れるだけ」「エネルギー消費量はごく僅か。運動で痩せようなんて『骨折り損のくたびれ儲け』だ!」と、信じて疑わなかった私が、こんなに続けることが出来たなんて。
10代の頃から世に出ては消えていく、さまざまなダイエット法を真面目に試しては、挫折。という<ダイエット迷子>歴を重ねてきました。「あとちょっと」の減量を夢見て、大切な青春を「体重」の増減に左右され、一喜一憂していたのです。カーブスに出会う前の私は、「カロリーダイエット」の考え方に囚われ、ごく基本的で大切なことに気づかずにいました。それは「運動はとても効果的」だということです。
続けてきたカーブスですが、行くのが億劫に感じる日も当然ありました。特に仕事で疲れ果てている日などです。仕事の疲れは「身体の疲れ」もあれば「脳疲労」もあると思います。長らく教職に就いていましたので、ワークアウトに間に合うように、かなり気を張っていないといつも午後7時をまわってしまいます。カーブスの曜日を決め、行かない日は時間を気にせずサービス残業(泣)評価の仕事と部活動...。そんな毎日ですから疲れも麻痺していました。
ズタボロに疲れた体でも、カーブスへ向かいそれ程がんばらない気持ちで、いつものワークアウトをしてみると、帰りには明らかに体が軽いんです。もちろん気分も、です。そして、行く前には、心にわだかまっていた出来事や、あるいは仕事上の悩み・モヤモヤがリセットされているのです。これが癖になりました(笑)
なので、痩せるかどうかではなく、気持ちを切り替えることができ、自分の生活の質を高める事を期待して、1年また1年と、続けてこられたように思います。そんな自分に、ちょっとした気づきを与えてくれた出来事がありました。
コーチは皆、会員の1人ひとりをやたらと褒めますよね(笑)余り間を空けず、余り休まずに通ったら「かおりさん、よく来れましたね~」「かおりさん、仕事帰りにいつも偉いですね~」などと声をかけられます。
「あ、はい。・・・どうも。」などと言いつつ、初めのうちは「これくらいのことで、何をそんなに大げさな。」と、褒められることを(逆にバカにしてない?)とすら感じていました。普通に努力出来る自分がデフォルトだったので。かなりひねくれていましたね...(笑)
きっとコーチ達は脳科学を勉強した上での発言なのではないかと予測します。褒められると人は誰でも「快」になる。同じ運動をするにも、脳を「不快」ではなく、快にして取り組むと、自己肯定感も高まり、成果が上がる。といった研修を受けている...。それを理解しつつも、やたらベタ褒めされることに、私は居心地の悪さから少し反感すらおぼえていたんです。実は。
どうしても仕事が立て込んでいたり、飲み会など不摂生が続いている時期に、
計測日が重なるときもありました。前の計測で「来月までの目標は何か」を答える時、私の場合「やっぱり、もう少し減量かな?」と、同じ答えが続きました。 「減量したい」と、言い続けている手前、前回よりも500g程度増えたりすると、私はもう何を言われても心に響きません。
ですが、私が自分を否定しても、決して否定的な話にはしないコーチは「でも、かおりさん、見てみてください。入会時はこの数値だったので(タブレットで入会時の計測結果を示しながら)着実に成果がでていますよ!」と言います。そんな励ましに対しても私は間髪を入れず「いや、だって8年前でしょう?減量したといっても入会した8年前からみると、さすがにねぇ~。ここのところは、まったく数値は動いていないんで。」などと反論してしまいました。
そのとき、何か前向きになる言葉をかけられる前に、ほんの瞬間だけ、コーチが何とも言えない、悲しげな表情をしたことが私にはわかりました。一瞬ですが...。
そのとき、ハッとしたのです。何を意地を張っているんだ、私は。せっかく褒めてくれようとしている相手に対して、かたくなに好意を拒否するような態度...。(なんてダサいんだ。私は...。)
仕事帰りの週2~3回のカーブスが日常となり、少しずつ少しずつ体重は減少していきました。ですが、自分を褒めて、励ましてくれようとしてくれている相手に、先月の計測から2㎏近く増えてしまっていた事実だけで自分を許せず、どんなに励まされても頷けず、むしろ必死になってマイナスを探す。ダサい頑固な自分の態度に気がついたのは、2年前の秋の計測でした。
<こんな姿勢を、この先もずっと続けていきたいの?それを続けて、幸せになれるの?>違う!断じて。
私はずっと「まだまだダメだ!」とジャッジし、自分を認めずに「やはり最終的には努力なんでしょ」と、思いこんできた。その結果、前回51㎏台だったのが、翌月は53.2㎏になってしまった。これは、考えていた通り「まだまだダメ」な状態を自分が設定してしまっていた、という事...。
もう、同じことの繰り返しはやめよう。コーチ程ではなくても、こんな自分を許そう。もう少しだけ褒めよう。少なくとも話の相手に(一瞬でも)あんな悲しい表情をさせたことは、今までなかった。こんな自分の態度は、違う。
このとき、静かに自分の内側が変化しました。
気づけば自分史上、「最もスタイルが良い」と、断言してしまえる状況がやってきたのです。(50代でそれが叶うなどとは、思いも寄らなかった)今年の健診では、初めて身長に対して標準体重の範囲から下回り、マイナス数値がつきました。こんな日が来るなんて...。
運動習慣がない、若い頃の私の太ももといったら、ぶよっとしたシルエットで、膝のお皿に太ももの脂肪がかぶさり、膝小僧の1/3を隠していました。バックスタイルも同様に、お尻と太ももの境目がはっきりとしない感じ...。運動しないで何十年も過ごしていたのですから、当然かもしれません...。でも今では、見下ろした自分の足がスッとして見えます。両足を揃えた時、太ももの間の隙間もあります。必然的に以前より脚が長くなったように感じられます。お尻と太ももは、触ると締っていて、皮下の手触りが以前と全く違います。贅肉が減った分、お尻の位置が高くなったような印象です。なぜなら体脂肪が減り、筋肉量が増えたからですね。
体重がそれ程変わらなくても、体脂肪と筋肉量の割合が変化すると、見た目のスタイルが全く違います。それだけで、日々が楽しく感じられ、QOL(生活の質)が上がる。
「運が動く」と書いて「運動」たしかにカーブスを続けている私には、「運」がこちらにやってきた気配も感じています。