「やせなきゃだめだよー、加藤さん」
検診で30年来のかかりつけの医師の言葉にひどくショックを受けた。
数年前からひざ痛と悪玉コレステロールの値が悪くなっていた。フルタイムで働いていた頃に比べ、体を動かすことが減り、気づけば6年の間に8キログラムも体重が増加していた。ちょっと家事をするだけでも疲れやすく、明らかに体力の衰えを感じていた。
ある日、1歳の孫を預かることになり、抱きかかえ数歩歩いた時だった。
「ガクッ、ガクッ」
右ひざに全く力が入らず危うく転びそうになってしまった。娘にはこっぴどく叱られた。このまま足腰が弱っていったら、孫のお世話もできなくなる。なんとかしなければならない。
サークル仲間でカーブスに通っている年上の人がいたので、思いきって自分の体の状態を話してみることにした。すると、
「私には効果があったけど、誰にも効果があるわけではないよ」
と言いつつ、ほぼ1年間毎日カーブスに通い12キログラム減量したこと。今も週5で立ちっぱなしでバリバリ働いていることを教えてくれた。
彼女の紹介で自宅から車で十数分のカーブスの店舗を訪れると、私と同年代か少し上と思われる先輩方がマシンを使って生き生きと運動していた。そばに付いて周ってくれるコーチの励ましの言葉の心地よいこと。ほめられてがんばる皆さんは楽しそうだ。
12台のマシンは全部30秒で交代。ステップボードではウォークによる有酸素運動。この繰り返しで無理なく30分で終了する。運動が苦手な私でも続けられるかもしれない。行ける日はとにかく通おう。入会を即決した。
マシンはどこかのトレーニング室で見たことのあるもので、使い方はすぐ覚えたが、いっそう負荷をかける動かし方がある事をコーチらの指導で知った。1周回ると大量の汗をかき2周終えると気持ちよい達成感を感じた。
1ヶ月経つと、少々のことで休息することがなくなってきた。歩幅も大きくなって歩くスピードが速くなってきた気がした。
3ヶ月目の計測で、ウエストや腹回りがサイズダウンしていた。何よりも体が軽い。パートから帰宅した後も家の中で動き回っていられるようになった。コーチらに話すと、自分のことのように喜んでくれた。
ダイエットと思い、野菜中心の食生活から、コーチ達の指導に従って、たんぱく質中心の食生活に変えていった。カロリーは抑えつつたんぱく質を12点摂るのは少し悩むことがあったが、10点は下らないように朝昼晩の食事でいろいろな食材から摂るように気をつけるようになった。元々甘い物は食べない方だが、家族が買ってくるケーキや和菓子の誘惑は案外断ち切れるようになっていた。
カーブスレシピはとても簡単で作りやすいので、参考にさせてもらうことが度々ある。レシピファイルを作って、冷蔵庫の食材で明日はこれを作ろうと考える時間が楽しい。
4ヵ月も経つと、家族やコーチだけでなく、知り合いからも、
「やせた?」「体が引きしまってきたね」
と言われるようになった。きつくて入らなかったスカートやズボンがすんなり入るようになり、もうLLサイズの服は買わないぞと、心に決めた。
店長やコーチたちは本当に素敵で尊敬する。大勢いる会員さんたちの名前をすぐに覚えて、
「○○さん、こんにちは!」
「○○さん、また来週!」
と、元気に挨拶してくださる。マシンの時のアドバイスもその人に合わせて的確に助言してくださる。全員に平等にまんべんなく声かけするのはすごいことだと思う。明るい声を聞く度に、通って良かったと思う。自分にできることがあればと、「血管年齢測定」のチラシを配布する手伝いを申し出た。私が配った地区から大勢測定に来ていたと店長さんからもったいない程お礼を言われた。
1月、店内の壁面に「○回達成記念Tシャツ獲得者」の会員番号が貼り出された。1000回、2000回、中には3000回も通っている方がいる。これまで、なぜそんなに長く続けられるのか不思議に思っていた。しかし、自分を振り返って、体が軽くなる、痛みがなくなるという大きな効果があった。他の皆さんにもその人なりの効果があるのだろう。Tシャツ獲得までまだまだ先のことだが、自分がこれらのTシャツを着ている姿が確かに想像できた。
店長さんが測定会をしている店に行き、血管年齢を測ってもらった際に、筋肉や血管のことをいくつか質問してみた。どの質問にも柔らかな笑顔で答えてくれた。血管は遺伝によるものが大きいけれど、筋トレを重ねていけば何歳からでも柔らかくしなやかに変えていけるのだそうだ。
「知っている人が声をかけてくれると、ほっとするのよ。ありがとう。」
と言われた。スポーツ系のお仕事をしているのに、繊細な心の持ち主なんだなあと思った。趣味が手芸や編み物、着物を着ること。私も同じ趣味なので親近感をおぼえた。
入会してまもなく8ヶ月。真冬になると痛くなるひざがうそのように痛くない。そういえば痛み止めを飲むことも通院することもなくなった。だるくてゴロゴロ横になることもない。先日検診を受けてきたが検診結果を聞くのが楽しみである。カーブスに通っていなかったら、と聞かれたら、人生をあきらめていただろう。体重はまちがいなく増加していただろう。孫の世話も満足にできずにいただろう。と答える。
両親と義母を看取り、仕事に家事に育児にがむしゃらに邁進してきたがやりたいことはいつも二の次だった。楽しい人生はこれからだ。この世を去るその日まで「この年まで生きてきて、いい人生だった」と思えるように、周囲の人たちに感謝の気もちを忘れずに、自分の心や体を大切にして過ごしていきたい。そう思えるようにしてくれたカーブス、ありがとう。これからもよろしくね。