私には、会いたい人がいる。
同じ店舗に通うKさんだ。
カーブスに通い始めて、1年半。
ある日、カーブスでママ友のKさんを見つけた。
数年前に子どもの小学校で、一緒に役員活動をしていた仲良しママだ。
カーブスでは、会員さんを下の名前で呼ぶので、最初は彼女だと気づかなかった。
でも、よく似ている。
自分のスマホの住所録から、彼女のフルネームを探しだした。
「やっぱり間違いない。一緒に役員をしていたKさんだ」
あのころは、週に1回は小学校で会い、2、3年は一緒に活動をしていたと思う。
今度会ったら、「こんにちは」とか「お疲れ様です」なんて言って、驚かせたい。
「私だよ。○○だよ」と自ら名乗ることはやめよう。
挨拶をして、急に気がつくほうが楽しい。
「びっくりした、久しぶり!」なんて、きっと驚いてくれるに違いない。
ところが、何度挨拶しても「久しぶり!」と言ってはくれない。
「お疲れさま」「お先に失礼します」
目を見てにっこり笑ってみるが、反応が薄い。
なぜ私のことに気づかないのだろう。なぜ他人行儀なのだろう。
何日も考えてやっと気づいた。
そうだ、今の私はあの頃より、10キロも太っていたのだ。
いい気なものだ、すっかり忘れていた。
10キロ増の自分がすっかり日常になっていた。
髪型もロングからショートカットに変わっているし。
あの頃に戻ろう。そうしたら私に気がつくに違いない。
お店だけでなく、おうちでカーブスも追加した。
プロテインも飲み始めた。
Kさんを見かけるたびに挨拶は続けているが、いまだに手ごたえは無い。
そろそろ自分から名乗ろうか。
いや、ここまで我慢したのだから、向こうから気づいて欲しい。
現在、入会時より、マイナス6.2キロ。
体重が減り、あの頃の自分に近づくに従って、Kさんを見かけることが少なくなった。
時間が違うのか。仕事が忙しいのか。
偶然を装いたいばかりに、自ら名乗ることをやめてしまったが、あの時きちんと「私だよ」
と挨拶を交わしていればよかった。
いまだに会えずじまいだが、今度会ったら本当に声をかけよう。
「ちょっと太っちゃったけど、わかる?私だよ」
いつか会える日を楽しみにして、また明日から頑張ろう。