㈱カーブスジャパンは、2013年8月26日~2014年2月8日の6カ月間、筑波大学大学院 人間総合科学研究科 久野研究室と共同研究を行いました。サルコペニア肥満またはサルコペニアの兆候がみられる高齢女性を対象として、カーブス運動プログラムが筋量、筋力、及び歩行能力に及ぼす影響を検討することを目的とし、カーブス運動プログラムを実施する群(カーブス群)とウォーキングを実施する群(歩行群)の2群を比較しました。方法は無作為比較対象試験を用いました。
平均年齢70歳の中高齢女性を対象とした6 ヵ月間、週3回のカーブス運動プログラムは筋肉量について、大腰筋横断面積(7.1%)が歩行群に比べて有意に増加しました。大腿筋横断面積は介入前後で有意に増加しました。また、等速性膝関節屈曲筋力(角速度60°/秒)・股関節屈曲筋力(角速度60°/秒)歩行群に比べてカーブス群で有意な差がありました(それぞれ7.5%、23.6%の増加)。大腿部皮下脂肪面積の減少歩行群(-1.8%)に比べてカーブス群(-6.5%)で有意な低下を示しました。
カーブス運動プログラムを長期間継続することで、約3~9年間分の加齢による筋量の減少を予防し、要介護の原因になるサルコペニアの予防につながると考えられました。
この研究の結果は2014年9月第69回日本体力医学会大会で発表されました。
短時間のサーキット運動が中高齢女性の筋量、筋力、歩行能力に及ぼす影響
方恩知1)田辺解1)王シンチン1)津田瞳美2)齋藤光2)齋藤直美3)久野譜也1)
1)筑波大学大学院 人間総合科学研究科
2)カーブスジャパン
3)つくばウエルネスリサーチ
背景 | サルコペニアは、加齢による筋量の減少と定義され 、筋力や有酸素性能力の加齢低下に関連することが知られており、サルコペニアのみ、または肥満のみの状態と比べて「サルコペニア肥満」は、生活習慣病及び運動器疾患リスクが高いことが明らかとなっている。 また、サルコペニアと肥満を併せ持つサルコペニア肥満では、サルコペニアや肥満を単体で持つ人よりも疾病リスクが格段に高まることが知られている。 しかしながら有酸素運動と筋力トレーニングの両方をコンバインドで行うカーブス運動プログラムが要介護の原因となるサルコペニアに対して予防や改善に効果的であるかどうかは明らかにされていない。 |
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目的 | 本研究は、サルコペニア肥満またはサルコペニアの兆候がみられる高齢女性を対象としてカーブス運動プログラムが筋量、筋力、及び歩行能力に及ぼす影響を検討することを目的とした。 |
運動介入 期間 |
2013年8月26日~2014年2月8日の6カ月間 |
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対象 | 60歳~85歳の女性49名 |
除外基準 |
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抽出方法 | 試験会場近辺の住宅に研究協力者募集のチラシを配布。
A) 有酸素運動群(日常生活の中で歩行を実施 ) |
測定方法 | 被験者49名を、年齢、BMI、及びサルコペニア肥満判定等をマッチングし、以下の2群に分類。 A) 有酸素運動群(24人):日常生活の中で歩行を実施 |
測定項目 | 筋量(筋横断面積)、筋力(等速性筋力・等尺性筋力)、歩行能力(10m歩行時間・10m障害物歩行時間・6分間歩行距離・Timed Up and Go・タンデムウォーク)、その他体力(椅子座り立ち回数・上体起こし回数・ファンクショナルリーチ・開眼片足立ち時間)、生活習慣病関連指標(形態・サルコペニア肥満判定・腹囲・血圧・血液成分・MetS判定)、体脂肪量(内臓脂肪・皮下脂肪面積)、身体活動量(1日当たり歩数・1週間当たり活動量・1日当たりしっかり歩数)、基本属性、食習慣など |
筋肉量への効果
結果 | 大腰筋横断面積 カーブス群で有意に増加(7.1%)し、歩行群の変化(1.4%)比べて統計的に有意な違いが認められた。 大腿筋横断面積カーブス群で、介入前後で有意に増加(1.8%)した。 |
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結論 | 大腰筋を肥大させる効果があり、歩行トレーニングに比してもより大きな効果がある。 |

筋力への効果
結果 | 等速性膝関節筋力 膝関節屈曲筋力は、低速(60°/秒)での筋力発揮時にカーブス群で有意に大きく増加(7.5%)し、歩行群(-4.3%)に比べて有意な差が認められた。 等速性股関節筋力カーブス群の屈曲筋力(60°/秒)は、介入後に有意に増加(23.6%)し、歩行群(2.2%)に比べて有意な差が認められた。 |
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結論 | 下肢筋力の増加をもたらす可能性がある。特に膝関節屈曲、及び股関節屈曲筋力は、歩行トレーニング以上の筋力増加をもたらす効果が期待できる。さらには、高速(角速度180°/秒)よりも低速(角速度60°/秒)の筋力発揮を増強する効果をもたらす可能性がある。 |


皮下脂肪への効果
結果 | 大腿部皮下脂肪面積
カーブス群で有意に減少(6.5%)し、歩行群(1.8%)に比べて有意な差が認められた。 |
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結論 | 皮下脂肪や内臓脂肪の減少をもたらす可能性がある。特に大腿部の皮下脂肪量をより減少させる効果が期待できる。 |
