ある日、お笑い番組を観ていた。後ろに反りかえって爆笑したら・・・腰に激痛が走った。
「どうしたらいいやろ?」と相談したら、コーチはうーんと考え込み、私のサポートについた。
「ん~何か効いてる感じがしない。」
「ほやの~。今は効いてりとか鍛えるというよりは、動かすところから始めよっさ。少しずつ、の。」
「ほやの。サポートよろしくお願いします!!」
「なんもなんも♪焦らんとの、少しずつやってこっさ!」

またスタートラインだな、と思った。
以前のように動かせるようになるまで、どのくらいかかるだろう?と思いながら、どこか前向きな気持ち。
以前のように動かすことができるようになるための第一歩、スタートラインだ。

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人は大なり小なり、当たり前の日常を突然失ってしまうことがあります。
昨年は特に、そのことを身にしみて感じた方が沢山いらっしゃると思います。
私がここから書かせていただくことは、皆様の「それ」には到底及ばないほど小さな喪失です。
しかし、カーブスで学び感じ味わった、喪失から再生の道のりを共有できたらと思い、未熟者を承知の上でペンを取りたいと思いました。

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カーブスに出会うよりもずっと前の私。日夜休日関係なく仕事しか頭にない無趣味な人間でした。
希望していた仕事に就くことができ、やりがいと誇りを感じ、沢山の方と接する中でいろいろと学ばせていただく日々。充実した日々を送っていました。
 そんな日々を送っているうち、いつの間にか方向がずれていったのでしょう。周囲からもてはやされ、「期待に応えなければ」「私がやらなくちゃ」そして「私しかできない」。勘違いをし、謙虚さを失い、思い通りにいかない苛立ちを抱え、休憩・食事も忘れるほど仕事を詰め込み1年。身体のことなど微塵も考えていませんでした。長期間の疲労がピークに達し、その「ある日」は、突然やってきました。
 電話が鳴り、電話に出て、お話をお聞きし、
「え?」
 誰からの電話で、何の件で、誰に繋げば・・・?
 数秒前のことが真っ白で、どうすれば良いのか分からない・・・。固まったまま、激しい動悸に襲われました。
 「どうした!?」と周囲から尋ねられても、何が起こったのか分からない。どうしたら良いのか分からない。声も言葉も出ない自分がいました。
 声にならない言葉が涙となって、流れました。

 その「ある日」を境に、周囲とのズレが生じ始めました。
 話が頭に入ってこない。理解できない。伝えたいことがまとまらず、言葉や声にならない・・・。
 ズレがズレを生み、会話が苦痛で仕方なくなりました。
「どうせ会話ができないんだ。」喪失感と絶望感に苛まれ、人と関わることを避けるように。声や音すら恐怖になり、耳を塞ぐ日々。誰もいない場所で泣く毎日。
「なぜ今までできていたことができないのか?」「なぜこんな簡単なことができなくなってしまったんだ?」
 「なぜ?」それまで当たり前にできていたことが、何故できないのか?「なぜ」の矛先は自分に向き、自分を責めるようになりました。

明らかに塞ぎこんでしまった私を見兼ねてか、カーブスに通っていた知人はコーチに相談したそうです。
 知人から勧められ、何日も迷いました。「どうせ変れない」冷めた想い。諦め。しかし約1年前のある日、カーブスのドアを開きました。
 諦めの片隅にあった、「変われるかもしれない」「変わりたい」という小さな小さな光を胸に・・・。

 私が失ったもの。人との関わり・会話・体力。
 入会時に掲げた目標は、「会話をできるようになること」「体力をつけること」。
 入会して、様々な変化がありました。
 まず、ワークアウトが趣味になりました。筋力がアップし、少しだけ体力に自信が。自信がついたことで、外の世界に目を向けるように。ジョギングなどの趣味ができ、友人と一緒に楽しく話しながら走るようになりました。
 次に、会話や人との関わり。コーチやメンバーの皆様から声をかけていただくうち、会話や人との関わりに対して少しずつ希望を見出していきました。会話をさせていただくうち、「人との関わり・会話を諦めない」という強い意志を持つようになりました。心から笑うようになるようになったことも大きな変化です。
 そして、身体のこと。入会後、身体の声を第一に聴くようになりました。今も無理をしてしまうことがありますが、以前とは比較できないほど身体第一で行動をするようになったことも大きな変化です。

 ただ、入会後も何もかも順風満帆だったわけではありません。「やめたい」と思うこと何度かありました。
 私が悩んでいる時、表情や顔色で、コーチはすぐ察して下さいます。
 カーブスで充実感を得ることができなかった時。サーキット2周がある頃から出来なくなった時。仕事や人間関係がうまくいかなくて再び悩んでいた時。様々なことに自信を失いつつあったとき。
 コーチは私の辛辣な指摘に対しての謝罪と、指摘に対する感謝の言葉をおっしゃられた上で、その他の悩みに関しても誠心誠意かつ真剣に相談に乗ってくださいました。
自分はどうしたらいいのか?どうなりたいのか?コーチとお話ししているうち、少しずつ見えてきます。
 「すぐには変れないかもしれません。そして、光樹さんをサポートする私達スタッフ自身もまだまだ未熟な部分もたくさんあるかと思います。」
 そして、
「人の成長は、日々の小さな意識や行動の積み重ねだと思うんです。私達スタッフも光樹さんと一緒に、小さな意識や行動の積み重ねで改善や成長をしていきたい。ですので、想いを一緒に共有させていただいて、また少しずつ自信を取り戻せるようにひとつずつやっていきませんか?」
 その言葉に支えられ、その時また一歩を踏み出すことができました。

 そんな日々の中で気付いたことがあります。再生へのヒントや、自分に足りなかったこと。
 それは、小さな意識や行動の積み重ねや、失敗してもまた積み重ねること。それらを細く長く続けること。

そのような大切なことを教えて下さったカーブススタッフおよびメンバーの皆様、そして支えて下さった皆様。本当にありがとうございました。

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 人は大なり小なり、当たり前の日常を突然失ってしまうことがあります。
 失ってしまったら、どのように取り戻せば良いのか?新たに築き上げていけば良いのか?

 カーブスで学ばせていただいたそのヒントを、最後に記したいと思います。どれも、カーブスで出会った言葉です。
 
誰か一人でも言葉が届き、そして響き、喪失から再生の一歩を踏み出せますように・・・。

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 「人は、すぐには変れないと思うんです。毎日の小さな意識や行動の繰り返しで、少しずつ変っていくのだと。私はそう思います。」


 「悩んだとき、つらいとき、どんなときでも、ここにはいろんなことを乗り越えてきた先輩方がたくさんいることだけはさ、心の片隅に置いておいての~。」


 「仕事でも目標でも何でもそうだと思うんですが、向いてない・やめたい・もう嫌だと思っていても、心のどこかで変りたい・立ち直りたいという想いがあって、それに対して少しでいい。向きあっている時点で、その人にとってそれはもう向いていること・前進だと思うんです。」

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追伸
 このエッセイの締切である3月23日。偶然にもその1年前の3月23日。
"諦めの片隅にあった、「変わりたいという小さな小さな光を胸に"カーブスのドアを開けた日でした。