老いて来て、体の不調を訴える人の多いこと、病院に行ってきたとか、飲んでいる薬の話とか、入院している人の話、更にコロナ禍のことなど、重苦しい話が横行しているようです。私は三年前に夫を失くしました。
高齢になって、予期していたはずでしたが、一人ぼっちになってしまうと、ただうろたえるばかりで、何をやっても張り合いがなく、花を飾っても、美味しい季節の料理をつくっても、それを喜んでくれる人のいない淋しさを感じていました。
ある日のこと、カーブスさんの勧誘に会いました。傷心の私はその気になれません。この年になって(八十才)今さら運動をするの?という気持ちが心の中にあるからです。しかし、カーブスさんは、「これからが人生のスタートと思って、一緒に頑張りましょう」と云って下ったのです。そうか... もう八十才と思うか、いやまだ八十才なのだと思うのでは、人生への向き合う考え方が違うのではないか。
くよくよと悩んでばかりいられない。ここで決心するのだ。ポジティブに、生きる方向にスイッチを入れ直したのです。
翌日からスニーカーを履き、リュックを背負い、日除け帽子をかぶって、カーブスに通いはじめたのです。家の前に大きな川が流れていますが、その土手を下って二キロ程のところに大きなスーパーがあります。カーブスはその中にあります。
毎日、張り切って歩きはじめたのですが、足が痛くなって弱音を吐くこともありました。けれども、カーブスのドアを開けると「Yさあ~ん、こんにちわあ~」とスタッフの皆さんの元気な声が響きます。
萎えそうな体がシャキッとするから、スイッチが入ったのですね。
ここでは、みんな名前で呼んでいるそうです。私は何十年ぶりに名前を呼ばれて、照れていましたが、なつかしい自分に再会したようで、まんざらでもないような気がしました。「ハァーイ、腹に力を入れて、腹圧ですよ~」「顔はまっすぐ正面に向けて!!背すじを伸ばして無理なく運動をしましょう。」とコーチの元気な声です。汗がにじみます。
家に帰るとお腹がペコペコです。食事がとっても美味しく感じられ、夜はぐっすり眠れるようになったのです。今までは眠れずにラジオ深夜便などを聞いていましたが、その必要もなく、生活にリズムが出来て一日の時間を上手に使えるようになりました。カーブスに通って三年がたちます。
念願の腹まわりはすっきりとなり、体にカーブが現れました。とてもうれしくて、カーブスに感謝です。
昨年から新しくはじめたもう一つのことがあります。錦城流の詩吟です。
ほんの好奇心からでしたが、全く未知の世界に心を置くこともリフレッシュできるのではないかと思ったのです。詩吟も腹筋力が大切だそうです。歴史を学んで、そして旅を楽しむ (自分の足で) こと、歳を重ねても出来るのであれば幸せです。これからの楽しみが沢山増えそうです。
ある日、お茶飲み友達からドライブに誘われました。十一年前の東日本大震災で海水浴場の砂浜が津波によって流され、すっかり姿を消してしまっていたのです。あの砂はどこへ行ったのでしょう。絶望的とも云われてましたが、十年後、みごとに復興したのです。「道の駅大谷海岸」に着きました。私は見晴し台の階段を一気にかけ上りました。見渡すかぎりに広がっている太平洋を目にして、若い頃、家族で泳いだり、弁当を食べたりした楽しかった事が走馬燈のように私の頭の中をかけめぐりました。夕陽が傾きかけ、砂浜のあちこちに人影が見えます。
大きな声で呼びたくなりました。でもまわりにたくさんの人がいるので止めておきましょう。
他の人は?振り向くと、友達はハアハアいいながら、階段を登ってくるではありませんか、「あんたは早いね~、なんでそんなに元気があんの?」と勝手なことをしゃべっています。
私は、カーブスで筋トレをしているおかげだと思いました。
筋トレの大切さを他の人達にも普及させようとしていますが、人はそれぞれの暮らしがあって、許される自由な自分の時間をみつけることも違います。いつか、私のように八十才からでも始められる人もあるでしょう。
一番大切なことは、いつまでも自分の足で歩けることでしょう。万が一、災難にあっても自分の足で避難出来るように筋力をつけておくことです。去年のこと、娘に連れられて徳島県の大塚美術館へ行って来ました。私は若い頃から油絵を描いたりしていましたので、のりのりで出かけました。地下三階から、地上二階までコース順に従って巡り観賞するのですが、人の多さと、一つ一つのすばらしさに圧倒されて時間を忘れてしまいます。コースは四キロ以上になるというのですから、老齢の私は大変です。
「大丈夫?」娘は私を気使ってくれますが、私はいくら歩いても、足が痛くならなかったのです。娘は私の元気な姿に驚いていました。
だって、私はこういう日のために足腰を鍛えているのよ。
フランス・スペイン、と海外へも夢が広がります。年だから止めろ!!って?それが無理であれば、もう一度大塚美術館を訪ねて、ゆっくりと観て歩きたいと思います。そのためにも、カーブスに通います。
月に二十回以上を目標に、計測カードには体力年令が七十才と記されるようにがんばります。私はカーブスが大好きなんです。