止まらない体重増加と、それに伴う腰や膝の悪化のため、何か運動をしようと思い始めた。筋肉をつけて腰や膝の負担を軽くするとよいと聞いたからだ。そして少しでも体重を減らし、あわよくば若返る・・・という淡い期待もある。
 今まで何度かスポーツクラブに通ったことはある。しかし、いずれもエアロビクスなど体を激しく動かすものばかりだった。しかし、仕事で忙しい今は、時間をかけてそういう所へ通うこともできない。激しい運動ももうついて行けなくなった。ウォーキングなどやってはみたが、自己流なので効果があるのかよくわからない。


 そう思っているところへ「女性だけの30分健康体操教室」という看板を見つけた。これがカーブスとの出会いだった。そういえば友人が、場所は違うが通い始めたという話を先日聞いたばかりだ。30分だけなら気軽に通えるかもしれない。それに、家から歩いて行ける所にある。
 仕事を二つ掛け持ちしている私にとっては長い時間拘束されるものはできない。ここへ行けば、短い時間でなおかつ効率よく体を動かすことができるのでは、と期待して電話してみることに。
 電話では元気な女性スタッフが応対してくれた。雰囲気もよさそうだ。予約して行ってみようと思った。実際に中に入ってみると、思ったより狭い室内にたくさんのマシンが置いてあり、多くの人たちが順番にトレーニングをしている。私より年上の人が多いように感じた。
 さっそく体重などを測定する。予想していた通り、今までの中で最高の記録を更新する体重と、見たくもないスリーサイズ。平均よりずっと高い体脂肪率。おまけにかなり少ない筋肉量。それらの値から計算する体力年齢は実際より5歳近く高いものだった。これは本当に心を入れ替えなければいけない!


 これから始めるにあたって目標を決めましょうとスタッフに言われ、
 「若いころに比べたら10キロくらい増えたけど、10キロは無理だから5キロくらい減らせたら・・・ 」と、小さな声で言うと、
 「最初から無理だと思ったら絶対にできないんです」と言って、体重などを書き込んである用紙に大きく「マイナス10キロ」と書いて丸で囲んだ。え、そんな・・・ 2キロだって大変なのに10キロなんてとても無理。
 でもよく見ると「ダメ、ムリ、デキナイ、などのマイナス発言はやめましょう」と壁に張り紙がしてある。
 そうか・・・ 確かに最初から無理だと思うことができるわけがない。自分の中でも痩せるなんて到底できないと思い込んでいた気持ちが、少しずつ変わっていくような気がした。
 そして、最近洋服を見に行くと店員さんに、この服はウエストがゴムだから楽ですよとか、これだとお尻が隠れますよなどと言われるという話をすると、
 「そんな失礼な店員さん、見返してやりましょう」と言って、またさっきの用紙に「洋服のサイズダウン」と書いて丸で囲んだ。
 そこまで大それた望みはないが、できないと諦めていたことも不可能ではないかもしれないという気になり、とにかく入会する限りは頑張ってみようと決心した。


 いざ入会して、週3回通うのを目標にしたが、仕事以外にも用事ができたりすると行けなくなってしまう。また、寒い日、天気の悪い日、疲れている日・・・ 正直、行くのがおっくうになる日もある。しかし、やっぱり行こう、とカーブスのドアを開けると、
 「成子さん、こんにちは! 」とスタッフの元気な声が出迎えてくれる。そして、もくもくと汗を流すメンバーたちが目に入ってくる。やっぱり今日も来てよかった。メンバーたちは年齢に関係なく元気で、皆が笑顔だ。ここに来ることで、このプラスエネルギーをもらえるようで嬉しくなる。


 今は入会して4か月ほど経ち、カーブスが生活の一部になりつつある。私の場合、時間が思うように取れないのが一番の悩みだった。
 しかし、往復の時間も含め、カーブスに費やすのは約1時間。今のところ、カーブスに行ったからといって特別にこれができなくなったということはない。
 ということは、これまでのこの1時間は何だったのか。多分だらだらと無駄に過ごしていた時間ではないだろうか。それが有効に使えるようになったということは、間違いなく1日のうちで1時間得したことになる。おまけに体重が減って健康になれれば言うことなしだ。
 ただ、ダイエットへの道のりはそう簡単なものではない。それは毎月の計測でもよくわかる。少しずつ減っていたのに、ちょっと油断したり、不摂生が続くと、それが正直に結果に出てしまう。長く、地道に続けるのが大事なのだろう。
 やっとひねり出した1時間は、私にとってはカーブスにもらった大切な時間だ。メンバーの笑顔に負けないように、自分も笑顔でいようと思えるこの空間、そしてなりたい自分になれるのではないかという前向きな気持ちになるこの雰囲気が、私は大好きだ。