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国立研究開発法人
国立健康・栄養研究所との研究結果②
結論
日本人中高齢女性において、サーキットトレーニングを行う頻度が高いほど2型糖尿病の予防効果が高い。サーキットトレーニングは有効な一次予防手段である可能性が高いといえる。
この研究の結果はアジア糖尿病学会発行の論文Journal of Diabetes Investigation (JDI) に採択され、2018年12月18日にJDIのホームページにて早期公開されました。
J Diabetes Investig. 2018 Dec 18. doi: 10.1111/jdi.12973. PMID: 30561143.
Combined aerobic and resistance training, and incidence of diabetes: A retrospective cohort study in Japanese older women. Sawada SS, Gando Y, Kawakami R, Blair SN, Lee IM, Tamura Y, Tsuda H, Saito H, Miyachi M.
研究の背景と目的・概要
背景と目的
背景 | 米国スポーツ医学会と米国糖尿病学会は、有酸素運動 (AT) やレジスタンス・トレーニング (RT) の単独トレーニングと比較すると、両方を複合させた複合運動トレーニングの方が血糖コントロールに優れていると報告している。 AT:肥満の解消と、糖の貯蔵庫である骨格筋の質的な変化をもたらす RT:糖の貯蔵庫である骨格筋の量を増加させる 複合運動トレーニングと2型糖尿病罹患の関係については明らかになっていない。 |
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目的 | そこでサーキットトレーニングの実施頻度と発症率の関係を検証することを目的に調査を実施することとした。 |
研究概要
調査期間 | 2005年~2010年に参加者を登録し、2014年まで追跡調査(平均追跡期間:5年) |
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対象 | 20歳以上の女性10,680名(平均年齢57.8歳) |
参加条件 | 1. 2005年7月4日から2010年7月31日までにカーブスのサーキットトレーニングを行ったこと 2.調査登録時点で糖尿病または甲状腺疾患の既往歴がないこと |
抽出方法 | 東京近郊102施設のカーブス会員から抽出 |
調査方法 | 登録後 5 ヶ月間※のサーキットトレーニングの頻度により研究参加者を4つの群(Q1~Q4)に分け、糖尿病の発症有無について追跡調査を実施。調査は自己記入式アンケートにより実施 ※登録から 90 日目まで、151 日目から 180 日目まで、および 241 日目から 270 日目までの 5 ヶ月間 |
サーキットトレーニング実施頻度と糖尿病発症率について
トレーニング頻度と糖尿病罹患
サーキットトレーニングの実施頻度が高いほど、2型糖尿病※1の発症率が低くなる

P linearity =0.040
- トレーニング頻度
- Q1
- :週1回程度(n=2.716)
- Q2
- :週1〜2回(n=2.812)
- Q3
- :週2〜3回(n=2.610)
- Q4
- :週3回以上(n=2.542)
※1 2型糖尿病とは最も一般的な糖尿病で、中高年に多くみられます。2型糖尿病の発症は、遺伝的要因だけでなく生活習慣に関係しており、予防のためには適切な食事や運動が不可欠です。
国立健康・栄養研究所について
大正9年、当時の内務省の栄養研究所として誕生。以来、国民の健康保持・増進に関する調査研究を行い、科学的根拠に基づいたさまざまな指針を発表。「新しい食事摂取基準」「健康日本21」「健康づくりのための身体活動基準2013」「アクティブガイド(身体活動指針)」など。