2017年9月25日。
 朝、いつものように乗ったデジタル体組成計が示した数字は53.0㎏......
 「やった! マイナス15㎏クリア!」


 思わず飛び跳ねて、体組成計を壊すところでした。入会から3年以上、紆余曲折しながらようやく、体験アンケートに書いた目標の「マイナス15㎏」を達成した瞬間です。その日のうちに来店、報告。その時、一緒に喜んでくれたコーチのはじけるような笑顔を忘れることができません。
つい1年前までの自分は、残念ながら、電話をもらった時に1、2回ちょこっと来るだけ、仕事やら何やらと理由をつけてはさぼりっぱなしの、ほぼ幽霊メンバーでした。それが週2回、週3回と楽しみに通えるようになり、とうとう入会時の目標をクリアできることになったきっかけも、やはりコーチからの電話でした。

 2017年2月に入院と手術(子宮内膜異型増殖症で子宮と卵巣を摘出、腹膜の一部を切除)を経て、その時の自分は、身体も心もくたくたでした。何とかそれまでの家庭教師の仕事に復帰できたものの、楽々運んでいたはずの鞄が重過ぎて片手で持てない、駐車場から玄関までたった数mも歩くのがきつい、普段の家事ですら休み休みでないと無理。戻らないのは体力だけではありません。一体、これから自分はどうなってしまうんだろうという不安で、こっそり涙ぐむことさえありました。そこへ、入院前から受けていた主治医の心無い言動が嫌でも思い出されて追い打ちをかけます。まるで、自分の居場所がなくなり、自分が自分でなくなってしまったかのようでした。体力以上に気持ちがすっかり落ち込んでいたのです。

 久々にコーチから連絡をいただいたのは、退院から一月経った、そんな時でした。今から思えば、本当にバカなことを聞いたと笑えます。ですが、その時は恐る恐る、こんな手術を受けた自分が女性専用のお店に行ってもいいものかどうか、本当に恐る恐る聞きました。すると、連絡を下さったコーチが、電話の向こうの笑顔が見えるような明るい声で、
「全然、大丈夫ですよ!」
すっかり縮こまっていた身体と気持ちが、すうっと温かくほどけるような気がしました。
(そうか、カーブスがあったんだった...)

 そこからようやく許可が出て、お店に足を運んだのは四月末。変わらず温かく迎えて下さったコーチの皆さんの笑顔、ワークアウトに取り組んでいるメンバーの皆さんの元気な姿を久しぶりに見て、自分も落ち込んでるヒマにもっと早く来ればよかった!、と本当に後悔しました。
 けれど、再開したては正直、大変でした。ステップボードでは息が上がるし、心拍数は測るたびに「青」。それ以上に、どのマシンも重たいのなんのって! 楽勝だったはずのラテラル・リフトですら持ちあがらないわ、スクワットなんて持ち上がらないついでにマシンごとコケそうになるわ。その度にコーチの明るい笑顔とサポートが飛んできました。正しい使い方を何度でも解りやすく指導してくれるだけでなく、

「大きく動かせてますね!」
「大丈夫!きれいに使えてますよ」

 この明るい励ましが、なけなしの筋肉を総動員させてくれたと信じています。そうして一週間、また一週間と少しずつ、本当に少しずつでしたが、一つ一つのマシンが苦痛でなくなってくるのと同時に、後向きだった気持ちが前向きになってくるのを感じていました。今日は前回よりも1回多く動かせた、もっと大きく動かせた、そうやってできることが増えるたびに、踏んづけられて凹んでいた自分を取り戻しているという実感がありました。
ワークアウトのない日にも、今日は代わりにラジオ体操をしてみよう、あのメンバーさんみたいにウォーキングしてみようか、たんぱく質ももっとしっかり摂れるメニューを考えてみよう等々、前向きな気持ちは続いて行き、そして気が付けば、週2週3のカーブスがすっかり楽しみな習慣になってました。

 そこから2回目、7月の計測が終わったあたりからだと思います。数字に表れてくる成果に嬉しくなっているうちに、会う人会う人、口を揃えて言い出したのです。
「細くなったよね?」
毎日自分を見ているはずの主人まで、
「すっかり引き締まったって感じだよね」

 実は退院直後にも一度、精神的にボロボロで食欲もなかったせいで、体重は10㎏近く減っていました。思えば体脂肪はそのまま、筋肉だけがごっそり減っていたのだと思います。その時は、ただただ身体が辛かっただけで、細くなったという気はしませんでした。細くなったと言われた覚えもありません。そして、食事が戻ったら、あっという間に体重も元通り。そんな状態でワークアウトを再開してから三か月余り。前向きな自分が戻ってくるのと一緒に、それまでは感じたことのなかった変化を感じることが増えていました。エレベーターを待つまでもなく階段を駆け上っていたり、太ももまでしか上がらなかったはずのパンツがいつの間にかはけていたり。
計測の数字に表れた成果と「細くなった」という声、そして変化の実感と、全部が大きな励みになり、ますますやる気が出ます。

「何やったらそんなに元気に細くなるの?」聞かれるたびに、胸を張って答えました。
「カーブス行ってるよ!」

 そうして迎えた9月25日、マイナス15㎏の瞬間でした。
 目標をクリアしてから半年が経った今、体重も体型も体脂肪率も、もちろん、筋肉量もしっかりキープしています。直近の体力測定では50歳の自分が30歳代後半の判定をいただきました。

 それだけではありません。嫌なことを思い出して落ち込んでも、
(よし! カーブス行ってこよ!)
きっぱり振り切って、用意一式入ったバッグを持ち、張り切って家を出ます。ワークアウトを頑張って、メンバーさん達とおしゃべりして、笑顔のコーチに見送られる頃には、身体も気持ちも本当に軽々としています。重たい身体を縮こまらせて沈んでいるばかりだった一年前の自分は、もうどこにもいません。そして、これからもずっと、カーブスがあるから、この元気な毎日が続いていきます。

 もしもあの時、コーチから電話をもらえていなかったら、今頃、自分はどうなっていたのでしょうか、本当に......
 でも、今は「我にカーブス有り!」です。