2015年9月、私は奈良100年会館の舞台で、演奏していました。
思い返せば30年間ある大学の講師としてピアノ実技担当をしておりました。その間、結婚、出産、子育てと家事に追われて私の体は心身共、疲れきっていました。ピアノ演奏しようにも、肩から指先にかけて電流が走ったような感覚を受けて、とてもピアノを弾けるような状態ではありませんでした。
 肩から腕にかけて、何十年も使っていた筋肉が、ガチガチに固まってしまったのだと思います。私の体は悲鳴をあげていました。そういう事情もあり、大学を辞める事になりました。しばらくは疲れで何もできない状態でした。
 ある日、買物の帰り、公民館の前を通ると、きれいな歌声が聞こえてきました。その歌声は、疲れた私の心にすっと入ってきました。私はいつの間にか、公民館の中に入って合唱の練習を見学していました。
今はピアノが弾けない状態だが、「合唱なら歌える」と思いました。何日か経過し、合唱団の方に入団を勧められました。私の心の中には、どこか、音楽とかかわっていたいという思いがあって、入団する事に決めました。
 そして大学を辞めてから3年間その合唱団に入って歌を歌っているうちに、段々と意欲が沸いてきました。団員の方達は割と年配の方が多く皆、親切にして下さって私も元気になっていきました。体はまだ、万全じゃないけれど、前向きに、また少しずつピアノ演奏したいという気持ちになりました。
 そして何とかして元の状態にもどしたいと思い、近くの整骨院へ行ったり、スポーツセンターへ行ったりしていました。
 そんな時、ご近所の奥様に「カーブスがいいよ」と勧められました。新聞の広告で時々、見た事がありましたので、その当時、自宅から一番近い「宇治木幡」のカーブスに早速体験を申し込みました。行ってみますと担当のコーチは親切丁寧に、12種類のマシンの説明や私の健康チェックをして下さってとても感じが良かったので、即入会手続をしました。
 今まで通っていたスポーツセンターと違ってこじんまりした感じだけれど、1人1人のメンバーさんに対してコーチの気配りが非常に行き届いています。
そして「12種類のマシンを音楽のリズムに合わせて体を動かす」とても合理的で、すばらしく思いました。
 ピアノ演奏も、ある意味では運動です。ただ指が勝手に動いている訳ではないんです。肩、肘、手首、腰、膝、足首、すべて、体全体を使って弾きます。鍵盤は下半身で支え上半身で弾きペダルは3本ありますが、それを曲の表情に添って部分部分で音を聞きながら両足で操作するのです。しかも指令は脳からです。
 ですから、このカーブスのマシンを使った運動は、ピアノ演奏にとってなくてはならない存在です。
事実通い始めて、二年目頃、肩から腕にかけてのかつての症状が、ほとんどなくなって効果が現れ始めました。そして、プロテインも紹介され、私の体質に合っているのか、体脂肪が減ってきました。挫折から、一筋の希望の光が見えてきました。
 2015年に、奈良の演奏会の企画が持ち上がり、私も弾かせていただく事になりました。不安もありましたが、それよりも、わくわく感と自分の健康が回復に向かっているという喜びの方が勝っていました。
 20代の頃に勉強した曲でも、60代になってからでは、曲に対する感じ方がすごく違います。いろんな人生経験を経て、曲の中の絶望、喜び、悲しみ、希望、それらが心に染みてくるんです。若い時は、それなりに感じていたとは思うのですが、今ほどではなかったと思います。
 この写真は、カーブスのメンバーさんが撮って下さった中の一枚です。
一昨年の12月に、MOMOテラスの「カーブス」がオープンしました。
自宅から徒歩10分位なので、こちらに変わりました。
現在は週三日を目標に、通っています。木曜だけ町内の方のご厚意で、車に同乗し、一緒に買物や、食事をして、通っています。
 ここまで健康が回復できましたのもカーブスのお陰そしてメンバーさんのお陰です。感謝の気持ちを忘れず、これからも残された人生を、楽曲に自分の年齢を重ね合わせて、日々精進していくつもりです。今日もカーブスの準備をして私の一日が始まります。
 皆様ありがとうございました。