カーブスのドアを開けると、「Mさん、こんにちは!」と、コーチの明るい声と笑顔に迎えられる。私は仕事を早めに切り上げないと、間に合わないので、能率的に仕事を片付け、急いで地下鉄を乗り継ぎ帰宅後、慌しく着替えをして駆けつける。
だから、下の名前を呼ばれ、笑顔に迎えられるとそれだけで、疲れがふっとび、意欲が湧いてくる。
6月で5年、以前はフィットネスクラブでスイミングやヨガの後、大浴場で湯につかるのが楽しみだった私に、苦手の筋トレがこんなに続くとは、思ってもみなかった。
我が親族は、祖母、母、叔母、そして姉と、揃ってみんな足腰膝が悪かった。
私自身も、30代前半でぎっくり腰をしてから腰痛は持病で、体のどこかしらが痛むのが日常だったので、鍛えておかねば、という想いは強かったかもしれない。
現在の住まいへ転居後、以前のフィットネスクラブは遠くて不便なので退会し、運動する場を探さなくてはと思っていたら、たまたま付けていたテレビでカーブスに出会った。
当時は右肩の痛みに悩んでいて、整形外科で何度も注射を打ち、痛み止め薬を服用するも進展なし。MRI画像では数十個の水たまりが写っており、隣で整形外科医は驚きの表情で、口をぽかんと空けていた。失望した私は「筋トレでもやってみるか」ほどの軽い気持ちで、近くのカーブスに体験に行ったあの日。
① 30分間で12種類のマシンを2周することで、体全体を鍛えられる→効率的!
② 毎月の計測で、骨格筋率や体脂肪など数値化される→具体的で説得力がある!
③カーブスは女性ばかり→ヘンなおじさんやおじいさんがいない!
決断は早い(決着をつけたい)私は、「よし!賭けてみよう」と、その日に入会した。
決断の早さでは、過去に数々の失敗はあれど、この「決断」は正しかった。
フルタイムで働きながら、週に2回ほど通えればと考えていたが、土曜は半日、日曜が休みのカーブスで鍛えるには、平日にできるだけ通うことが重要だと、「出張」と「避けられない夜の会合」以外は、17:15には退社する決心をした。上司を説得し、しなければならない仕事は自宅へ持ち帰ることにした。
今盛んに現政権が訴えている「働き改革」をカーブスのお陰で成し遂げることができた。
働き方改革とは、本人にとっては生き方を変えることであり、筋トレが目的だったカーブスに、「生き方」を改革してもらえて、ほんとうに感謝している。
そして、いつのまにか右肩の痛みは消え、持病だった腰痛も発症しなくなっている。
入会したころには、友人を作ることは眼中になかったので、敬愛する仲間というか、同志ができたのは想定外の喜びだ。
プリンセスなどのイベントでは、成果交換の際に名乗りあうので、自然と知り合い、親しくなる。中でも特に私は年上のお姉さまが好きだ。
仕事関係先では、どこでも最年長の私には、人生経験豊富なお姉さまたちが多いのが嬉しい。彼女たちはいろいろな不具合や病気を抱えている人が少なくない。決して万全でない体調でも、頑張って通ってくる。そして何よりも明るい。私が積極的に声をかけ、会話を楽しむのはお姉さまたち。
先月70歳になり、人生の最終章に入った今、「最期まで自分の足で歩き、身の回りのことは自身でやり続けたい」この切なるねがいは、募るばかりである。
だからこそ、人生最終章を一人で生き抜くための「ロールモデル」を、お姉さまたちに求めているのだろう。
 ところが、昨日、計測の順番を待っていると、最近入会した、我が娘よりも若く見える素敵なお嬢さんが親しげに話しかけてきた。彼女も仕事帰りなのだろう、いつも同じ頃に始めるので、顔は知っていたが、挨拶すらしたこともない。彼女は計測のやり方を質問し、なぜ筋トレをするかなど話してくれ、お互いに骨格筋率の数値が少し上がったことを喜び合った。通常はそれでおしまいが、ストレッチの最後に思い切り開脚・前屈している私にアドバイスを求めてきた。
その時、「ハッと」した。
ロールモデルを求めてばかりいた私に、私自身がロールモデルになることを目指すという生き方を気づかせてくれたのだ。
ありがとう!
これからは、お姉さまたちだけでなく、娘や妹たちにも声をかけ、さまざまなロールモデルに出会い、可能な限り長く自分の足で歩くことを許されるよう、より一層豊かなカーブスライフを続けて行きたいものだ。