私は現在、77歳。50代から腰痛に悩まされてきた。70歳になって変形性股関節症の手術を受け、人工股関節の身となり障害者手帳を持つに至った。永年、歩行を苦行のように感じ、車頼みの生活を続けてきた身である。すぐ近くのポストへの郵便物の投函も車で行くほどだった。ヨガ、自彊術、体操、整体院通いと痛みを取る努力は重ねて来たが、20年間、期待するような効果は得られなかった。
 67歳で仕事は退職したが、3人の孫たちの世話が待ち受けていた。ますます体力が必要となった。老化による体力の衰えを食い止め、痛みや痺れなどの違和感を緩和する方法はないものか。いつも模索、自問自答していた。
 ある日、カーブスというジムで、半年間で体重を3キロ落としたという友人から、話を聞いた。結果が良ければ、すぐ乗るタチである。早速、その友人に連れられて、カーブスへ行き、体験コースを申し込んだ。今から3年前のことである。今、思い返すと最初の日のマシーンのなんと重かったこと!マシーンの乗り降りがなんとぎこちなかったこと!そして、翌日の身体の筋肉痛が半端ではなかったこと。運動で傷めた筋肉を修復することで筋肉が増えるのだとトレーナーさんに説明され、納得。その時の計測では、なぜか体年齢が48歳と出た。紹介しくれた友人は、最初の体年齢が実年齢よりも15歳も上だったと悔しがっていた。
 3年経った最新の計測では体脂肪が僅かに減り、筋肉量が微増、体年齢は52歳。年齢の進行を考えると悪くはないと思う。しかも、多忙になると月2、3回しか行けないというときもあり、決して熱心な会員という訳ではないが、行ったあとはとても体がリフレッシュされる。会費のわりに利用が少ない月もあるので、辞めようかしらと思うことはあっても、辞める決心はいまのところつかない。
 さらにカーブス効果?と思われる体験をこの3月にした。久しぶりに娘・孫の三代で海外旅行に出かけたのである。行先はポルトガルのリスボン。ロンドンでの乗り継ぎ時間も入れると17時間の長旅だった。エコノミークラス症候群を恐れたが、無事に元気で往復することができた。滞在地では、会議に娘が出席している昼間は10歳の孫を連れ、二人で街歩きを楽しんだ。バスツアーにも参加して、初めてのリスボン観光を堪能。
 依然、歩行が苦手な私は、旅行には杖を持参することにした。リスボンは坂の多い街と聞いており、杖があればなんとかなるだろうと考えたからだ。リスボンの"シャンゼリゼ"と呼ばれるリベルダーデ通りから3ブロックほど入ったホテルに滞在したが、ホテルからリベルダーデ通りを下り、下町のバイシャ地区まで片道40分の距離を歩きとおすことが出来たのである。帰りも緩やかな登り坂の道をホテルまで歩きとおすことが出来た。いざとなればタクシーとも思ったが、リスボンのタクシーはいささか怖い。かつての東京のタクシーがそうであったように、ものすごい神風運転をするのである。曲がりくねった狭い坂道を対向車何のそので飛ばしてくれるのである。ちなみに、街なかの縦列駐車の列を見て、驚いた。前後にわずか30センチぐらいのすき間を残し、整然と駐車している。ポルトガル人のドライバーは、運転技術が特別なのかもしれない。
 帰国してすぐ、別の孫の世話や友人とのお花見予定が入っていたが、時差ボケもなくすぐに日本時間に戻ることが出来た。海外旅行で脳や心に刺激を受けたおかげか、不思議なくらい元気になった。でも、その元気の基礎は、カーブス効果だと信じる。基礎体力がついたおかげで、無事に海外旅行がこなせたと感じている。
 海外へ行かれる方のために一言。杖のある方は、ぜひお持ちになることをお勧めする。高齢者で杖があったためにチェックイン、搭乗など優先的にやってもらえたし、遠くのエスカレータより近くのエレベータを使わせてもらえた。7年前、股関節の手術後にハワイへ行った折は、リハビリ用の杖は機内で預かられたし、優先などの扱いもなかった。今は見るからに老人とみられるようになったためだろうか。いや、アメリカとヨーロッパの違いだということにしておこう。
 忙しくて、カーブスを辞めようかと思うことが時折ある。しかし、辞めずに続けている理由を述べてみよう。まず、30分ですみ、用事の帰りに普通の服装でも運動が出来ること。女性だけであること。すべての仕組みがいかにもアメリカ的で、合理的であること。トレーナーさんたちが明るく、フレンドリーで挨拶、声掛けなどの気遣いがあること。〇〇さん!とファースト・ネームで呼びかけられること。1週間休むと、電話がかかってくるのも嬉しい。月ごとの計測で、体の現状が分かることも良い。
 しかし、もっと大切なことは、運動の内容である。筋トレ、有酸素運動、ストレッチが組み合わされていて、とても理に適っていると思う。脳の仕組みや性質に関する本を読むと、運動が脳や心に良いことが書かれている。運動が脳のなかの記憶力をつかさどる海馬の神経細胞を増やすことが書かれているし、運動がある種のハッピー・ホルモンを分泌させ、気分を前向きにさせることも述べられている。運動の結果の筋肉が基礎代謝量を上げ、免疫力も高めるらしい。しかも、筋肉は何歳になっても鍛えることが出来るという。健康は、自分の責任で守らなければならないので、身近にあるカーブスは、ありがたい存在だと思う。
 語学の勉強会、ヴォーカルトレーニングを受けながらの歌の練習、小学生の孫たち3人の世話、友人たちとのグループ活動など日々の楽しみ、課題、責任がいろいろある。そうした毎日を支えるものは、やはり心と体の健康である。貯金に代わる「貯筋」が大切らしいと身をもって実感できるようになった。腰痛や足の痺れなど体の違和感は、相変わらず消えはしない。しかし、そうした不調をあまり気にせず、不調と共存しながら、日々頑張っていける元気をカーブスから得ている。やはり、カーブスは続けて行こうと思う。