私は、幼い頃から、スポーツに親しむ環境にはありませんでした。
 戦後の復興期で、多くの日本人が、明日の日本を信じて、質素に懸命に働いていた頃でした。相撲やプロ野球、テニス、駅伝も高校野球もあったのですが、スポーツよりは、生きることに必死で、更に、テレビ中継はまだなく、ラジオを中心に家族で応援するような日々でした。
 そんな訳で、私は、学校で授業としてスポーツを体験する以外、スポーツに親しむ機会はありませんでした。
 やがて、結婚し、2人の子に恵まれ、育児も一段落ついた頃、何か体に良いことをしたい。体を動かしたい思いが湧いてきて、新設されたスイミング教室へ通い始めました。
 海に入ったこともなく、いきなりの水泳でしたが、基本から教えて頂いてるうちに、クロール、バック、平泳ぎと泳げるようになり、この私が......と、とても達成感を覚えました。もっと続けたかったのですが、8年ぶりに、ひょっこり第3子に恵まれ、スイミング教室は辞めてしまいました。
 世の中は、バブル期に入りかけていて、様々な種類のスポーツが愛好され、教室も沢山出来、人気を博してました。スポーツが日常生活の一部に入り込んで、スポーツを楽しむ人口も爆発的に増えました。
 私も、何かしたいと思いつつ、ボーリングをしたり、ダンベルをしたり、水中ウォークをしたりと、飛びついては、長続きせず辞めてしまう、そういう繰り返しばかりでした。
 その間、体調に大きな変化はなく、子供達の教育、結婚、孫の誕生、夫の手伝い、奉仕活動、親戚知人とのおつき合い等、日々忙しく過してきました。世の中では、健康志向が高まり、体脂肪、筋肉量、基礎代謝等の言葉をよく耳にしましたが、私には無縁だと思ってました。
 それが、今から5年前、当時4才と、1才2ヶ月の、末娘の兄弟孫が、我家へ遊びに来ていた時のことでした。少しもじっとしてなくて、2人は二階へ。私はずっと後を追ってましたが、いきなり、チビちゃんが、トットットッと階段の方へ走ったのです。素早い行動がとれる筈のない私が、「これは危ない。」と思うと同時に、パァッと走って、チビちゃんを後ろから抱き止め、胸に抱えた瞬間、思いもしなかったことが起こったのです。
 走った勢いのまま、10kgはある孫を抱きバランスを崩し、頭を左右にガンガンぶつけながら、階段を転げ落ちてたのです。
 右脚の中央が、食パン一枚が垂れ下がったように、肉片がダラリとめくれてました。
 すぐ、病院へ運ばれ、13針縫い、神経はズタズタに切れてるとのことでした。
 でも、私は良かったことを数えました。
 抱いてた孫は、私の下敷きにもならず無傷だったのです。孫を守ることが出来ただけでも幸せでした。その上、私も裂傷だけで、骨折一つなく、あんなに頭をぶつけたのに、異常もなくタンコブ一つだったのも良かったことでした。
 歩けるようになり、外出してみて、脚力がとても弱くなってることに気付きました。
 階段の上り下りが普通には出来ず、斜目に下りたり、フラついたり、座ることは、今でも大変です。
 それでも、月日の流れ程、確実なものはなく、気付けば、古稀を迎え、体力の劣えに体幹を何んとかしなくてはと、心底思ってました。
 その頃、奉仕活動の会の仲間のSさんが、
 「カーブスで筋肉を鍛えてる。2年になるけど、筋肉も増え、体もしっかりしてきた。」と話したのです。「カーブスって何?」初めて耳にする言葉でした。体力不足に不安を感じてた私の心にグイッと入ってくる魅力的な話しでした。
 更に、2~3日して、そのカーブスの宣伝広告が、新聞に入ってきたのです。
 くい入るように読み、「筋肉は運動しないと、すぐ劣えてしまう。筋肉の大切さ、その筋肉を、1回30分のトレーニングで鍛えましょう。」という内容に私は、「カーブスだ。カーブスで一から始めよう。」と決意しました。
 去年4月に入会し、5、6、7月と可能な限り、カーブスへ通いました。コーチの先生方は、明るく、テキパキと指導して下さり、筋肉の大切さと、筋肉が無くなる怖さも時に声を張り上げ、心を込めて話して下さいます。女性だけ、一回30分、行ける時間にという取り組み易さに加え、私の通うカーブスは大型スーパーの2階ですので、買い物にも便利で一石三鳥の魅力があります。
 私の体も軽く感じられ、キビキビと動けるようになり、体力も向上している実感がありました。
 ところが、夏休みに入りますと、20才~6才まで5人の孫達が入り乱れ、私を誘惑し、私はその誘惑には喜んで負け続け、カーブスのことは忘れかけていました。
 秋は秋で忙しく、冬は更に忙しく、私の筋肉は減り続け、体もポテポテしてきました。
 さすがの私も、これではいけないと、多いに反省し、意識を変えようと、「本気で取り組む。」「集中する。」「素直な気持ちを大切にする。」と決意し、正月明けからは、出来る限り、カーブスファーストにして通いました。
 コーチの先生方は、私達が継続出来るように励まして下さり、各週毎にクイズを出したり、毎月、「水を飲み切りましょう」といった目標を掲げて、マンネリ化しないように、様々な工夫をして下さいます。
 私自身、体幹もしっかりしてきたと感じてますし、気持ちも前向きになり、積極的に行動出来るようになりました。
 カーブスを続ける目標は、
・現役で働いてる夫を支え、力になりたい。
・ささやかに続けてる奉仕活動も出来るだけ長く活動して皆様のお役に立ちたい。
・5人の孫達の成人を見届けたい。結婚式には、ピンヒールで、腹圧を高かめ背筋をピイーンと伸して、颯爽と祝ってあげたい。
・そして、叶うなら、自分の脚で立って、ひ孫を抱きしめて、その存在の重さを、自分の全身で感じたい。
 その目標達成のためには、しっかりした筋肉が必要で、強い筋肉がない限り、私は心身共に自立した人間にはなれないと気付いたのです。
 カーブスへの入り口の角を曲がると、「いいね、いいわよ。」明るいコーチの声や、仲間の皆さんの笑い声が外へ溢ふれ出ています。
 いつも満員の盛況で、自分の心身を鍛えるために、汗を流してる皆さんの姿を目にすると、一人では挫けてしまうトレーニングも、コーチの励ましとあいまって、私も頑張ろうと続けることが出来ています。
 何が何んでも、カーブスへ通い続けて、私の筋肉を少しづつでも増やしたい。
 筋肉を大切に守り、健康寿命を伸すために、私は、これからもカーブスに通い続けます。
 これが、私がカーブスを続ける理由です。